テーブルとはどんな機能か?設定手順やメリット・デメリットまとめ
AさんAさん

これから分析に使うデータを集めていく必要がありますが、どういう表でデータを蓄積していけば良いのでしょうか?

森田森田

データを蓄積していくなら、表を「テーブル」にすると良いです!
元データがテーブルだと集計/分析がしやすくなりますよ。

では、詳細を解説していきますね。

Excelステップ講座

解説動画:【テーブル#1】データの入力/蓄積に最適なデータベース形式の表にできる「テーブル」とは

この記事の内容は下記の動画でも解説しています。
コメント欄の各プロセスの時間部分をクリックすると該当の解説へジャンプできますよ!

テーブルとは

データベースに適した表の種類のことを「テーブル」と言います。

このテーブルは、以下の3つの特徴がある表です。

  • 見出しが1
  • 11データ
  • 1列同一種類データ

上記の特徴があるために、データを蓄積しやすく、かつ集計/分析の元データとして最適化された表形式になります。

元データがテーブルだと、ピボットテーブルや関数といった集計機能をフル活用しやすくなり、集計/分析の作業効率がアップします。

パワークエリ、パワーピボットという新しめなExcelの主要機能はテーブルを前提にしているため、Excelスキルをアップしたい方にとって、テーブルは必須スキルと言えるでしょう。

テーブルの構成要素

テーブルは、次の要素で構成されています。Excel上の操作の中でも目にする単語のため、ぜひ覚えておきましょう。

  • フィールド名:列の見出し名のこと ※表の1行目
  • フィールド:列全体のデータのこと
  • レコード:データのこと(11データ) ※表の2行目以降

そして、テーブルに絶対に入れておくべきフィールドとして「主キー」があります。

主キーとは、そのレコードが一意(重複していない)であることを示すためのコードや番号のことです。

一般的にはテーブルの左端に主キーを用意すると良いでしょう。

この主キーは、実は私たちの身の回りにたくさんあります。(社員番号や製品番号、注文番号等)

例えば、社員番号であれば、仮に同姓同名の社員が複数名いたとしても、別人として管理できます。

この主キーがあると、そのテーブルのデータに重複がないことを示すだけでなく、他テーブルで情報を参照したい際の目印になるため、必ず盛り込むようにしましょう。

テーブルの書式設定手順

Excelには、任意のセル範囲をテーブルにするためのコマンドとして「テーブルとして書式設定」が用意されています。

その設定手順は以下の通りです。

この設定を行うことで、セル範囲がテーブルになります。

普通の表かテーブルなのかを見分ける際は、以下2点のポイントのいずれかを確認すると良いでしょう。

なお、他の機能でテーブルを参照する機会が今後ありそうなら、テーブル名を付けておきましょう。

テーブル名があることで何の表を参照しているか識別しやすくなります。
テーブル名は数字始まりや使用不可の記号(”/”等)があります。

テーブルのメリット

このテーブルのメリットをもっと詳細に解説していきますが、大枠で4つのメリットがあります。

【メリット1】表の初期設定を時短できる

まず1つ目のメリットは、表の初期設定を大幅に時短できることです。

具体的には、「テーブルとして書式設定」を行うことで、以下のメリットをワンセットで得られます。

  • 表全体のスタイルを簡単に設定できる
  • フィルターボタンが自動的に設定される
  • 「ウィンドウ枠の固定」を設定せずともスクロール時に見出しが固定される

これが普通の表だったら、次のような設定を手動で行うため、地味に時間がかかります。

  • 表の見出しやレコード部分に色を付ける
  • フィルターを設定する
  • 「ウィンドウ枠の固定」を設定する

【メリット2】元データとして最適な表形式を維持しやすい

次に2つ目のメリットは、表を更新する段階に入っても、元データとして最適な表形式を維持しやすいことです。

まず、テーブル内のデータ量が増加しても、以下のような対応を自動的にしてくれます。

  • フィールド・レコードを追加するとテーブル範囲が自動拡張する
  • レコード追加時、同じフィールドに設定していた書式や数式、入力規則等が自動でセットされる
  • 数式は1つのセルにセットすると、同じフィールドの全レコードに数式が自動でセットされる

また、テーブルのルールを逸脱しないよう以下のような物理的な制御もしてくれます。

  • フィールド名もレコードも結合できない
  • フィールド名の重複も自動で抑止してくれる(連番が振られる)

このような特性をテーブルは持っているため、ピボットテーブルを挿入しようとした際のエラーを出ることも防ぐことが可能となります。

参考記事

ピボットテーブルの元データにしたい表に必要なルールの詳細を知りたい方は下記記事をご参照ください。

【メリット3】他の機能で参照した場合のメンテナンスが不要

続いて3つ目のメリットは、他の機能で参照した場合のメンテナンスが不要なことです。

具体的には、ピボットテーブルや数式等でテーブルを参照した際、テーブル範囲の拡張があっても、参照している側の範囲も連動して拡張してくれます。

普通の表を参照した場合は、表の範囲が変わる度に参照側の範囲も都度修正しないといけないため、メンテナンス工数がかかりますし、修正漏れのリスクもあったので、何気に大きい恩恵だと思います。

なお、一点注意としては、この恩恵を受けることができない例外的な機能として「データの入力規則」があります。

この場合の対処方法は別記事で解説予定です。

【メリット4】表のスタイルを簡単に変更できる

最後に4つ目のメリットは、表のスタイルを簡単に変更できることです。

表のスタイルを途中からでも、リボンの「テーブルデザイン」タブ経由で以下のような変更を簡単に行うことができます。

  • 見出しやレコードの色を変える
  • レコードを縞模様にする、あるいは縞模様を解除する
  • 最初の列だけ色を変える
  • 表の下側に集計行を追加する

詳細の方法は別記事にまとめています。

参考記事

テーブルスタイルの詳細を知りたい方は下記記事をご参照ください。

【注意】テーブルのデメリット

多くのメリットがあるテーブルですが、以下のようなデメリットもあるため、この点を踏まえて運用していきましょう。

【デメリット1】「ブックの共有」を設定できない

デメリットの1つ目は、テーブルが存在するブックは共有を行うことができないことです。
そもそもブックを共有化すると、データ量が増えるとともにデータの破損リスクもあるため、扱いには注意が必要です。

なお、「ブックの共有」を実行しようとすると、以下のようなエラーメッセージが表示されます。

このブックは、ExcelのテーブルまたはXMLの対応付けが含まれているため、共有できません。このブックを共有するには、テーブルを範囲に変換するか、XMLの対応付けを削除する必要があります。

テーブルを範囲に変換するには、テーブルを選択し、[テーブル]タブの[ツール]グループにある[範囲に変換]をクリックします。XMLの対応付けを削除するには、[XMLソース]作業ウィンドウ([開発]タブの[XML]グループで[ソース]ボタンをクリック)を使用します。[開発]タブを表示するには、[ファイル]タブ、[オプション][リボンのユーザー設定]の順にクリックし、[メインタブ][開発]チェックボックスをオンにします。

どうしても共有したい場合は、エラーメッセージに記載の通り、「範囲に変換」を行ってテーブルから普通のセル範囲へ戻しましょう。

なお、TeamsにアップしたExcelブックであれば、テーブルを解除せずとも複数人で共同編集が可能です。

表の目的や作業環境に合わせて最適な方法を選んでください。

参考記事

「ブックの共有」の詳細を知りたい方は下記記事をご参照ください。

【デメリット2】「シートの保護」を行うとテーブルの自動拡張がOFFになる

デメリットの2つ目が、「シートの保護」を行うとテーブルの自動拡張がOFFになることです。

「シートの保護」自体は設定できるものの、新たなレコードを入力しようとしても、テーブル範囲が自動拡張されないのは少々もったいないですね。

よって、「シートの保護」をした方が二度手間を減らせる場合のみ、テーブルに「シートの保護」を行いましょう。

なお、その際は自動拡張されない分、予備のレコード分を含めてあらかじめ多めにテーブル範囲を広げておくと良いです。

参考記事

「シートの保護」の詳細を知りたい方は下記記事をご参照ください。

【デメリット3】数式の参照時に注意が必要

3つ目のデメリットは、テーブルを数式で参照する際に注意が必要なことです。

テーブルを数式で参照する際は、「構造化参照」という形式となり、テーブルのどの範囲を参照しているかが分かりやすい反面、複数列で同じ数式を使い回せないケースがあります。

例えば、フィールド名を参照した数式を複数列に使い回したいケース等です。

この場合は、構造化参照ではなく、手入力でセル番地を任意の参照形式(絶対参照/相対参照)に指定する必要があります。

参考記事

絶対参照/相対参照やVLOOKUP+MATCHの詳細を知りたい方は下記記事をご参照ください。


なお、もう1点注意が必要なこととして、フィールド名に数値や日付を入れた場合、必ず文字列扱いとなってしまいます。

そもそもテーブルの使い方として、数値や日付はレコード部分であることが一般的なために問題になることは少ないと思いますが、フィールド名を対象に数値や日付を対象とした関数等の機能は活用できない(しにくい)と頭に入れておきましょう。

サンプルファイルで練習しよう!

可能であれば、以下のサンプルファイルをダウンロードして、実際に「テーブルとして書式設定」の操作練習をしてみてください。

サンプルファイル_テーブルとして書式設定.xlsx

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(上記リンクから登録フォームへ遷移します)

ブックを開いたら、次の手順を実施してください。(今までの解説のまとめです)

  1. テーブル化したい表のいずれかのセルを選択
  2. リボン「ホーム」タブをクリック
  3. 「テーブルとして書式設定」をクリック
  4. 任意のテーブルスタイルを選択
  5. (「テーブルの作成」ダイアログ)「OK」をクリック

本記事の解説と同じ結果になればOKです!

さいごに

いかがでしたでしょうか?

テーブルはExcelを活用して行く上でベースとなる機能の一つです。

特に制約がなければ、元データになる表は積極的にテーブル化していくことをおすすめします。

なお、テーブルをベースとした各種テクニックは、私の拙著でも体系的に解説していますので、こちらも参考にしてみてください。



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ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

Excelは表組みの自由度が高いがゆえに、不備が多く、集計/分析に使いにくい表形式になってしまうことが多かったです。
しかし、このテーブルをきちんと活用できれば、そうした事態を防ぐことができるため、より多くの方にテーブルをしっかり理解いただき、実務で活用してもらえると嬉しいですね。

リアルに後工程の集計/分析の時に疲弊する人が減りますから。