Excelで数値データがどれだけバラツキがあるか調べたいですが、何か良い方法ありますかね?
その場合は、関数の「STDEVP」を活用すると良いですよ!
では、STDEVPの使い方について解説していきますね。
はじめに
この記事は関数の概要を把握していることが前提です。
関数の概要については以下の記事をご参照ください。
はじめに この記事は数式の概要を把握していることが前提です。 参考記事 数式の概要の詳細は以下の記事をご参照ください。 関数とは 関数とは、数式の構成要素の1つであり、固有の計算/処理の機能がセットされた数式のことです。 …
数値データの「バラツキの大きさ」を定量化したい場合は「STDEVP」が有効
実務では、品質管理やリスク管理、あるいはパフォーマンス改善のためのデータ分析の一環でデータのバラツキ具合を調べたいケースがあります。
その場合に役立つ指標が「標準偏差」です。
標準偏差とは、「データ全体のバラツキの大きさ(=平均値から離れているデータの多さ)」を数値化したものです。
この数値の大小に比例し、数値データのバラツキの大小を示します。
Excelで標準偏差を算出する場合、関数の「STDEVP」を使うと良いです。
STDEVPは「スタンダード・ディビエーション・ピー」と読む。
STDEVPを使うことで、指定した数値データ全体の標準偏差を算出できます。
ちなみに、STDEVPはワークシート上のデータがすべて(母集団)として標準偏差を算出しますが、ワークシート上のデータが一部のサンプル(標本)しかない場合は、「STDEV」(スタンダード・ディビエーション)または「STDEV.S」(スタンダード・ディビエーション・エス)を使うと良いでしょう。
STDEV・STDEV.Sの使い方はSTDEVPと同じです。
より詳しく標準偏差を知りたい方は以下の記事(他サイト)も参考にしてください。
総務省統計局、統計研究研修所の共同運営によるサイトです。国勢の基本に関する統計の企画・作成・提供、国及び地方公共団体の統計職員に専門的な研修を行っています。
標準偏差の意味や具体的な求め方、実際のビジネスでの活用事例についてわかりやすく解説します。標準偏差を理解すると日常生活や仕事の見え方が変わってくるはずです。
標準偏差とは統計学の指標の一つで、あるデータが平均値からどの程度外れているかを示す指標です。 本記事では、ビジネスシーンにおける標準偏差の活用法や実際の求め方について解説します。
STDEVPの構文
STDEVPの構文は以下の通りです。
=STDEVP(数値1,[数値2],…)
引数を母集団全体であると見なして、母集団の標準偏差を返します。論理値、および文字列は無視されます。
引数名 | 必須 | データ型 | 説明 |
---|---|---|---|
数値1 | ○ | 数値 | 母集団とする値や単一セル、セル範囲を指定します。 |
数値2 ※数値3以降も同様 |
– | 数値 | 母集団とする値や単一セル、セル範囲を指定します。 |
標本数が非常に多い場合、STDEVとSTDEVPの戻り値は、ほぼ同じ値になる。
引数「数値n」は最大255まで設定可能。
引数「数値n」をセル範囲または配列で参照した場合、数値だけが計算対象となり、空白セル、論理値、文字列はすべて無視される。
引数「数値n」で指定した値がすべて文字列の場合、エラー値「#VALUE!」が表示。
引数「数値n」にエラー値が含まれる場合、そのエラー値が表示。
【参考】STDEVPは「統計関数」
あくまで参考情報となりますが、STDEVPは統計関数です。
ただし、リボン「数式」タブの関数ライブラリ上では「その他の関数」の「互換性」に分類されています。
Excel2007以前のバージョン(Excel97-2003ブック(*.xls)含む)と互換性あり。
実際にSTDEVPを活用する際は、以下で解説しているように直接入力で挿入していきましょう。
STDEVPの使用結果イメージ
STDEVPを使い、標準偏差を計算するイメージは以下の通りです。
今回は「金額」列を対象に標準偏差を算出しました。
結果、標準偏差は「823」のため、指定した数値データは標準的に平均値「955」の「±823」の範囲に収まっていると言えます。
「平均値±標準偏差」の範囲にないデータのうち、他データより極端に大きい/小さい値は「外れ値」と言う。
STDEVPの数式の挿入手順
上記の結果を得るための手順は以下の通りです。
- 関数を挿入するセルを選択
※今回はH2セル - 「=std」等と入力
- サジェストから「STDEVP」を選択し、「Tab」キーで確定
- 母集団にしたいセル範囲を選択
※今回はF2~F11セル - 「Enter」キーで確定
手順②の際にIMEを半角英数モードにすること。
【参考】STDEVPの後継関数は「STDEV.P」
STDEVPの後継の関数として、Excel2010から「STDEV.P」(スタンダード・ディビエーション・ピー)という新しい関数が登場しました。
=STDEV.P(数値1,[数値2],…)
引数を母集団全体であると見なして、母集団の標準偏差を返します。論理値、および文字列は無視されます。
この関数の使い方および戻り値の結果はSTDEVPと同じです。
基本的には互換性のあるSTDEVPを使った方が無難だと思います。
サンプルファイルで練習しよう!
可能であれば、以下のサンプルファイルをダウンロードして、実際に操作練習をしてみてください。
※サンプルファイルのダウンロードには無料メルマガに登録いただく必要があります。
(上記リンクから登録フォームへ遷移します)
ブックを開いたら、次の手順を実施してください。(今までの解説のまとめです)
- 関数を挿入するセルを選択
※今回はH2セル - 「=std」等と入力
- サジェストから「STDEVP」を選択し、「Tab」キーで確定
- 母集団にしたいセル範囲を選択
※今回はF2~F11セル - 「Enter」キーで確定
本記事の解説と同じ結果になればOKです!
さいごに
いかがでしたでしょうか?
STDEVPは統計分析に役立つ関数の一つです。
定期的に標準偏差を算出する機会があるなら、ぜひ覚えておいた方が良いですね。
なお、STDEVP以外にもExcelでのデータ分析の各種テクニックを拙著で解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
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ご参考になれば幸いですm(_ _)m
STDEVPとセットで覚えておいた方が良い関数は、他の観点でデータ全体の傾向を把握できるものです。
平均値の「AVERAGE」、最大値の「MAX」、最小値の「MIN」、中央値の「MEDIAN」、最頻値の「MODE」等ですね。
その他、データのバラツキ具合を可視化する「ヒストグラム」や「散布図」もセットで使えると、なお分析が捗るので、学習することをおすすめします!