Power Query(パワークエリ)とはどんな機能か?活用の流れや手順、使い方まとめ
AさんAさん

定期的にExcelでデータの整形・加工作業してるんですけど、けっこう時間をとられています。。

どうにか自動化できないですかね?

普通はマクロとか使うんでしょうけど、あいにく難しそうですし。。

森田森田

それなら、Power Query(パワークエリ)という機能がおすすめですよ!

マウス操作中心で一連のデータ整形・加工の手順を記録させて、自動化することが可能です。

では、Power Query(パワークエリ)の詳細について解説していきますね。

解説動画:【パワークエリ#1】「パワークエリ(Power Query)」とはどんな機能か?大枠の流れや手順、使い方まとめ

この記事の内容は下記の動画でも解説しています。

はじめに

本題に入る前に、この記事がおすすめな方を挙げてみます。

  • Excelでブック内、あるいは別ファイルのデータを整形・加工したい方
  • Excelでのデータ整形・加工の工程が複数あり、かつその作業が定期的に発生する方
  • Power Query(パワークエリ)がどんな機能か知りたい方

前提条件

この記事のテクニックを使うためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • ExcelのバージョンはExcel2010以降(Microsoft365含む)が必須
  • Excel2010/2013ユーザーの場合、事前にMicrosoft社公式HPよりPower Query(パワークエリ)のダウンロードが必要

Power Query(パワークエリ)とは

Power Query(パワークエリ)とは、Excel2016以降から標準になった機能のひとつであり、主に各種データの取り込み、そのデータの整形・加工(データの変換、列の追加、並べ替え等)といった一連の定型作業を自動化することができます

イメージ的には、データを扱う一連のプロセスの中では、以下のとおり「データ収集」「データ整形」がPower Query(パワークエリ)の適用範囲です。

従来は、こうした一連の作業の自動化を行うには、マクロを使うしかありませんでした。

しかし、マクロを作成するには、VBAというOffice専用のプログラミング言語を習得する必要があるため、習得のハードルは高めです。

一方、このPower Query(パワークエリ)なら、基本的にはマウス操作中心で一連の作業手順を記録できるため、マクロと比べるとハードルは低めと言えます。(ピボットテーブルよりやや難しいレベル)

つまり、より多くの方の定型的な事務作業を自動化できる可能性を秘めています。

自分の実務へ活かせそうな方は、ぜひこの機能を習得することをおすすめします!

Power Query(パワークエリ)の作業ステップ

このPower Query(パワークエリ)ですが、大枠のイメージは次の3ステップで設定していきます。

では、各ステップの詳細を見ていきましょう。

【STEP1】データ取得

まずは、整形・加工したいデータを取得することから始めます。

なお、Power Query(パワークエリ)には、さまざまなデータに対応しておりますが、ここで何を指定するかがポイントです。

作業を自動化するためには、データ更新がなされる場所になるものをきちんと指定しましょう。

基本的には、次の4点が実務での基本パターンとなります。

  1. ブック内のテーブル/範囲
  2. 別ファイル(テキスト/CSV)
  3. 別ファイル(Excelブック)
  4. フォルダー

各ファイルでデータが追加・修正されるのであれば、該当のファイルを指定すれば良いです。(上記パターン1~3)

逆に、特定のフォルダーへ都度ファイルを追加していくなら、パターン4のようにフォルダー単位で指定します。

それぞれのパターンの具体的な手順は、関連記事をご参照ください。

【STEP2】データ整形

データを取得したら、いよいよ取り込んだデータを整形していきます。

なお、Power Query(パワークエリ)では、専用のエディター(Power Queryエディター)があり、そのエディター内で作業を記録させていきます。

Power Queryエディターの画面構成

Power Queryエディターのイメージは以下のとおりです。

基本的には、これらの領域を操作するイメージを持っておけばOKです。

エディター上の構成要素をそれぞれ解説していきますね。

リボン

ワークシートと同じように、このエディター上にもリボンがあります。

タブ毎にコマンドがグルーピングされていますので、どのタブにどのコマンドがあるかは以下をご覧ください。

数式バー

こちらもワークシートと同じく、数式バーがあります。

各作業手順(ステップ)がどんな処理がされているか、「M」という言語で記録されています。

基本的には、この数式バーを直接編集せずとも、コマンド等の操作により自動的に記録されるものなので、最初はここを触らなくとも大丈夫です。

この数式バーの表示/非表示を変更したい場合は、リボン「表示」タブにて「数式バー」のチェックのON/OFFで設定変更してください。

「プレビュー」ウィンドウ

こちらは、取り込んだデータに対し、記録させた作業の実行結果を確認するための領域です。

また、コマンドの代わりに、この領域上で作業するケースも一部あります。

なお、各作業手順(ステップ)毎でどう遷移したかも確認することが可能です。

「クエリの設定」ウィンドウ

こちらは、コマンドや各種操作を行った作業手順を記録する領域です。

この領域では、以下のとおり「クエリ名」と「適用したステップ」という2つの箇所を覚えておきましょう。

クエリ名は、文字通り「クエリの名前」です。

なお、そもそも「クエリ」という単語が聞きなれない方向けに解説しますが、ざっくりいうとデータベースに対しての命令文(検索、更新、削除、抽出など)のことです。

よって、クエリのことは「一連の作業の総称」と思っておけば良いですね。

そして、その作業の各手順(ステップ)が、「適用したステップ」へ記録されていきます。

ここで記録された各作業は、上から下へ1つずつ順番に取り込んだデータに対して処理を行っていくことになります。

なお、この各ステップもクエリ名と同様にステップ名を自由にリネームできます。

該当ステップ上で「F2」キーを押すか、右クリック→「名前の変更」でリネームが可能ですよ。

ぜひ、後で見返した際に分かりやすい内容にしておきましょう。

Power Query(パワークエリ)でできる主なデータ整形作業

では、実際にPower Query(パワークエリ)でどんなデータ整形ができるのか、解説していきましょう。

大枠では、次のような作業を記録できます。

  • 表記ゆれの修正(英数字の大文字⇔小文字、置換、トリミングなど)
  • データの削除(列、重複する行など)
  • データ型の変換(数値、文字列、日付など)
  • データの抽出・分割・統合
  • データの転記・結合
  • データのレイアウト変更(行列の入れ替え、ピボットの設定/解除など)

実務で頻出のケースの大部分には対応できると思います。

なお、なぜか英数カナの全角⇔半角の変換ができないため、置換などで代用が必要となりますので、ご注意ください。

【STEP3】データ出力

データの整形作業の記録が完了したら、整形した結果を出力して完了です。

なお、Power Query(パワークエリ)のデフォルト設定は、新規ワークシートへテーブルとして整形後のデータを返す仕様ですが、Power Queryエディターの閉じる際に、任意でデータの表示方法を変更することもできます。

変更可能な内容は、以下の「データのインポート」ダイアログをご覧ください。

表示方法として選択できる内容は4つありますが、「テーブル」か「接続の作成のみ」のいずれかが一般的です。

参考までに、その2通りで選択した際にどうなるか、以下のとおり比較してみました。

いずれも、ワークシートへ戻りますが、右側に「クエリと接続」ウィンドウが表示され、ウィンドウ上にはクエリ名もありますね。

「テーブル」を選択した場合は、新規ワークシートへデータ整形結果が出力され、ウィンドウ上のクエリ名の下には、読み込まれた行数(データのレコード数)が表示されています。

ちなみに、既存のワークシートの任意のセルへ出力させることも可能ですよ。

一方、「接続の作成のみ」を選択した場合は、ワークシートへ出力されず、データ整形の結果はExcelブック内に保持された状態になります。

これを選択するケースとしては、ブック内の複数テーブルを一旦取り込み、あとで転記や結合させたい場合など、いちいちデータの出力をしたくない場合に便利です。

【参考】クエリがあるExcelブックを開いた場合

このPower Query(パワークエリ)を用いて作成されたクエリがあるExcelブックを改めて開く場合、以下のような「セキュリティの警告」メッセージが表示されます。

クエリを動作させたい場合は、「コンテンツの有効化」をクリックしましょう。

【参考】作成したクエリに対する基本操作

なお、クエリ作成後の編集や削除、更新などの各種基本操作については、以下の記事をご参照ください。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

今回は、Power Query(パワークエリ)がどんな機能なのか、また、どのように使えば良いか、重点的に解説してみました。

関連記事を拡充次第、本記事の各ステップへリンクを適宜追加していきますので、実務で活用する際に、ぜひご活用くださいね。

なお、Power Query(パワークエリ)の各種テクニックは、私の拙著でも体系的に解説していますので、こちらも参考にしてみてください。


ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

このPower Query(パワークエリ)は、まだまだ使いこなしている人は少数だと思います。

しかし、Excelを用いたデスクワークがある方にとって、活用できるケースは広く、生産性を高めることが期待できる機能でもあります。

複数データの整形・加工を定期的に行う業務がある方は、ぜひこの機能を習得してみはいかがでしょうか。