【グラフ編】エクセルでガントチャートをつくる方法(Excel2010)
AさんAさん

仕事でプロジェクト管理を行なうことになりました。
プロジェクトメンバーのタスクの進捗状況を管理するためにもガントチャートを使いたいのですが、エクセルで作成できますかね?

森田森田

もちろんできますよ!
私もプロジェクトマネジメントを良く行いますが、クライアントとも共有することがあるのでエクセルで作成・管理しています。
それでは、作成方法を解説していきますね。

はじめに

本題に入る前に、この記事がおすすめな人を挙げてみます。

  • 仕事でプロジェクトに携わる機会がある人
  • 個人のタスク管理をしっかり行いたい人
  • グラフの応用テクニックを学びたい人

そもそもガントチャートとは?

ざっくり言うと、プロジェクト管理を行なうための表です。

1910年代に、アメリカ人の機械工学者であり経営コンサルタントでもあったヘンリー・ガントによって考案された。

プロジェクトを管理するために、プロジェクトの各段階を細かく作業単位まで展開し(Work Breakdown Structureを参照)Tree構造で階層表示、全体の作業の流れおよび進捗状況を表したものである。縦軸でWork Breakdown Structureを表し作業内容・担当・開始日・終了日・作業間の関連等を置き、横軸に日時(時間)をとって、横棒で行う期間及び進捗状況等を視覚的に示した図である。各作業の開始・終了時期、作業の流れ、進捗状況などが把握しやすくプロジェクト管理者やメンバーにとって非常に有効な管理手段である。

この表に必要な要素はまとめると、以下のとおりですね。

縦軸

縦軸は、少なくとも次の4つは必須ですね。

  • 作業内容(タスク) ※WBS(Work Breakdown Structure)で階層化が必要
  • 担当
  • 開始日
  • 終了日

その他、必要に応じて「作業間の関連」などの追加要素を入れると良いですよ。

私は、各タスクの「ステータス」や、「開始日」「終了日」を「予定」と「実績」でそれぞれ設けることが多いですね。

なお、一番のキーポイントはWBSで作業内容を実行するイメージが担当者間で共通認識となるレベルまで階層化・分解することが重要です。

WBSとは?

WBSはWork Breakdown Structureの略で、「作業分解構成図」とも言われます。

プロジェクトを理解し管理する上で、プロジェクトの各工程を各担当者の作業レベルまで展開し木構造にまとめたものである。どのレベルまで展開するかはプロジェクトの全メンバーが作業内容を「具体的に〇〇をする」と理解出来るレベルまでに分解するのが理想であるが、最低でも作業担当者とプロジェクト管理者の理解が得られるレベルまでは必要である。

一般的には、タスクを大・中・小の3階層程度に細分化します。

たとえば、「ダイエットする」というプロジェクトを例としてWBSを考えてみたのが、次の内容です。

3階層目の内容は、より具体的なタスクになっていることがわかりますね。

このように、実際のタスク群を進捗管理できる粒度まで細分化してあげると良いですよ。

横軸

横軸は管理しやすい時系列が必要です。

  • 時系列(日時や週など)

あとは、タスクごとに横棒や記号などで予定や進捗状況を表せばガントチャートといえますね。

ガントチャートをエクセルで作成するメリット

実は、ガントチャートは専用ソフトが複数出ており、機能面は明らかにエクセルよりも上でしょう。

Microsoft自体も、「Microsoft Project」というプロジェクト管理を行なうための専用ソフトを販売しているくらいですし、フリーソフトでもいっぱいあります。

しかし、エクセルだからこそのメリットもあります。

一例として挙げていくとこんな感じです。

特に、一番上の例は、ある程度大きな会社だと「あるある」だと思います。(私の会社もそうです)

よほど決済権を持っているか、上司を説得するだけの材料を用意する材料がないと厳しいですね。

であれば、エクセルでさくっとガントチャートをつくれちゃえば、万事解決です!

エクセルでガントチャートを作成する4つの方法

実は、このガントチャート、豊富な機能を持つエクセルは大別して4つの方法で作成することができちゃいます。

  1. グラフ
  2. 関数
  3. 条件付き書式
  4. マクロ(VBA)

それぞれ一長一短ありますが、ガントチャートを良くメンテナンスされる方が使う機能や理解できる機能を選ぶことがおすすめですね。

今回は、1のグラフで作成する方法(Excel2010)について解説していきます。

(2以降は別記事で更新する予定です)

【Excel2010】グラフ機能でガントチャートをつくる

積み上げ横棒グラフで作成しますが、全部で20ステップとなります。

前提

最初に予めガントチャートのもととなる表を用意しておきましょう。

最低限必要な要素は下記の通りです。

  • タスク名
  • 開始日
  • 日数(工数)

これはあくまでもガントチャートのグラフ作成の上での最低限必要な要素です。

実際のプロジェクトマネジメント上は、先述のとおり、終了日や必要工数(時間見積もり)、担当者などの要素もあると良いですね。

ちなみに、上図のサンプルではD~F列は予め書式設定でセルの表示形式を変更しております。

実際にセルに入力されているのは”数値”です。

文字列はグラフのデータ系列に正しく反映されません。

サンプルのタスク一覧は、私がブログ記事をアップするまでのタスクを分解したものです。

D・F列は”yyyy/mm/dd(aaa)”、E列は”0日”の表示形式で書式設定しています。

では、実際の作成手順にうつりましょう!

STEP1:ワークシート上に「積み上げ横棒グラフ」を挿入

まずは、ワークシート上でリボンの「挿入」タブをクリック(①)し、「グラフ」グループの「横棒」→「積み上げ横棒」の順にクリック(②)しましょう。

これで、ワークシート上にグラフが挿入されましたので、グラフエリアを任意の大きさに調整(③)しましょう。

調整は、四隅にマウスのカーソルを合わせてドラッグすればOKですよ。

続いて、グラフエリア内にマウスカーソルを合わせ、マウス右クリック(④)すると、グラフエリアの編集メニューが表示されます。

STEP2:グラフエリアの編集メニューの「データ選択」をクリック

「データの選択」クリック(⑤)しましょう。

すると、[データソースの選択]ウィンドウが表示されますよ。

STEP3:[データソースの選択]ウィンドウの「追加」をクリック

[凡例項目(系列)]の「追加」をクリック(⑥)しましょう。

すると、[系列の編集]ウィンドウが表示されますよ。

STEP4:[系列の編集]ウィンドウで「開始日」のデータを選択

ここでは表の「開始日」のデータを選択します。

[系列名]は「開始日」の見出しとなるD1セルを選択(⑦)[系列値]は「開始日」のデータとなるD2:D8のセル範囲を選択(⑧)した上で「OK」をクリックしましょう。

STEP5:「開始日」と同じように「日数」のデータも選択

⑥~⑧の工程と同様に表の「日数」のデータを選択します。

[系列名]は「日数」の見出しとなるE1セルを選択(⑨)[系列値]は「日数」のデータとなるE2:E8のセル範囲を選択(⑩)した上で「OK」をクリックしましょう。

STEP6:[データソースの選択]ウィンドウの「編集」をクリック

[データソースの選択]ウィンドウに戻り、[横軸(項目)ラベル]の「編集」をクリック(⑪)しましょう。

すると、[軸ラベル]ウィンドウが表示されます。

STEP7:[軸ラベル]ウィンドウの「編集」をクリック

ここではタスク名を選択します。

「タスク」のデータとなるC2:C8のセル範囲を選択(⑫)し、「OK」をクリックしましょう。

これで、ワークシートに戻ります。

STEP8:グラフの「横軸」を調整

続いて横軸が日付で見にくくなっているので調整です。

グラフの横軸の上にマウスカーソルを合わせてマウス右クリック(⑬)し、「軸の書式設定」をクリック(⑭)しましょう。

すると、 [軸の書式設定]ウィンドウが表示されます。

STEP9:[軸の書式設定]ウィンドウ「軸のオプション」でグラフの「横軸」を設定

[軸の書式設定]ウィンドウの「軸のオプション」で横軸の各種数値を設定しましょう。

具体的には、以下のとおり「最小値」~「補助目盛間隔」を任意の数値に変更(⑮)します。

  • 最小値:「開始日」のデータの一番上の日付
  • 最大値:「終了日」のデータの一番下の日付
  • 目盛間隔:グラフに表示したい日付単位(サンプルでは2日単位です)

STEP10:[軸の書式設定]ウィンドウ「表示形式」で「表示形式コード」を設定

[軸の書式設定]ウィンドウの「表示形式」をクリック(⑯)してメニューを切り替えましょう。

ここで、「表示形式コード」へ任意の表示形式を選択or入力(⑰)し、「追加」クリック後に「閉じる」をクリック(⑱)すればOKです。

今回の例では、グラフの見やすさを考慮し、年表示を省いた”mm/dd(aaa)”にしています。

STEP11:グラフの縦軸上で「軸の書式設定」をクリック

ワークシートに戻ります。

今度は、縦軸が表とグラフでは表示が上下逆になっているので調整します。

グラフの縦軸の上にマウスカーソルを合わせてマウス右クリック(⑲)し、「軸の書式設定」をクリック(⑳)しましょう。

すると、 [軸の書式設定]ウィンドウが表示されます。

STEP12:[軸の書式設定]ウィンドウ「軸のオプション」でグラフの「縦軸」の表示を反転

[軸の書式設定]ウィンドウの「軸のオプション」で縦軸の表示を反転するように設定しましょう。

「軸を反転する」にチェック(㉑)を入れ、「横軸との交点」の中の「最大項目」を選択し、「閉じる」をクリック(㉒)すればOKです。

STEP13:グラフの「開始日」のデータ系列上で「データ系列の書式設定」をクリック

ワークシートに戻ります。

そろそろガントチャートっぽくなってきましたね。

今度は、「開始日」のデータ系列の塗りつぶしをなくします。

グラフの「開始日」のデータ系列の上にマウスカーソルを合わせてマウス右クリック(㉓)し、「データ系列の書式設定」をクリック(㉔)しましょう。

すると、 [データ系列の書式設定]ウィンドウが表示されます。

STEP14:[データ系列の書式設定]ウィンドウ「塗りつぶし」でデータ系列の「塗りつぶしなし」を設定

[データ系列の書式設定]ウィンドウの「塗りつぶし」をクリック(㉕)してメニューを切り替えましょう。

ここで、「塗りつぶしなし」を選択後に「閉じる」をクリック(㉖)すればOKです。

STEP15:グラフの「凡例」を削除

ワークシートに戻り、続いて「凡例」を削除します。

グラフの「凡例」の上にマウスカーソルを合わせてマウス右クリック(㉗)し、「削除」をクリック(㉘)すればOKです。

これで、だいぶガントチャートになってきたので、後は好きな設定に変更するのみですね!

ここからはサンプルで設定したグラフ装飾の内容を参考までに解説していきます。

【応用】STEP16:グラフの「日数」のデータ系列上で「データ系列の書式設定」をクリック

これから行なう装飾は以下のとおりです。

  • 要素の間隔を狭める
  • 塗りつぶしを変える(グラデーション)
  • 要素に影をつける

まず、グラフの「日数」のデータ系列の上にマウスカーソルを合わせてマウス右クリック(㉙)し、「データ系列の書式設定」をクリック(㉚)しましょう。

すると、 [データ系列の書式設定]ウィンドウが表示されます。

【応用】STEP17:[データ系列の書式設定]ウィンドウ「系列のオプション」で「要素の間隔」を狭める

「要素の間隔」を任意の値へ変更(㉛)すると見栄えが良くなります。

初期値は”150%”ですが、今回は”75%”に変更してみました。

【応用】STEP18:[データ系列の書式設定]ウィンドウ「塗りつぶし」で「塗りつぶし」の色を変更

続いて、要素の塗りつぶしの色を変えます。

[データ系列の書式設定]ウィンドウの「塗りつぶし」をクリック(㉜)してメニューを切り替えましょう。

そして、任意の塗りつぶしを選択(㉜)すればOKです。

今回は「塗りつぶし(グラデーション)」へ変更しています。

【応用】STEP19:[データ系列の書式設定]ウィンドウ「影」で影を追加

最後に、要素に影を追加します。

[データ系列の書式設定]ウィンドウの「影」をクリックし、任意の影を選択(㉝)すればOKです。

今回は「外側-下」へ変更しています。

その他、好きな設定へ変更した上で「閉じる」をクリックし、[データ系列の書式設定]ウィンドウを閉じましょう。

【おまけ】STEP20:特定のデータ系列の色を変更

もし、担当者やタスクなどで特定のデータを強調したい場合は、任意の系列データを2回クリック(㉞)し、そのデータの上にマウスカーソルを合わせてマウス右クリック(㉟)の上、「データ要素の書式設定」をクリック(㊱)しましょう。

あとは、任意の色に変更すれば良いので、㉛~㉝の操作方法を参考に、任意の装飾に変更すればOKです。

完成!

STEP1~19までの操作で完了したガントチャートは上記のとおりです!

さいごに

グラフでガントチャートを作成することは、最初は細かな部分まで設定することが多くて大変です。

しかし、出来上がりのガントチャートの見栄えが良く、他の関数や条件付き書式と比べるとファイル容量も小さめにすることができます。

ガントチャートはプロジェクト管理向けの表なので、主に組織で仕事をする方向けですが、個人でもプロジェクト化できるものは、積極的にガントチャートにタスクをまとめて進捗管理を行なう習慣をつけると良いですね。

ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

実は、ガントチャートはどんな表にするかよりも、それ以上に重要なのは、いかにメンバーといっしょに進捗状況を確認する機会を密につくれるかです。
大体のうまくいかないプロジェクトは、ガントチャートの見直しや修正をする頻度が低く、形骸化する傾向にあります。(痛いほどの失敗事例を経験済み)
せっかく良いガントチャートをつくったら、うまく運用できるようなルールを設けて、それを徹底できるようにまとめることを強くおすすめします。

サンプルファイル

サンプルファイル_ガントチャート
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上記工程で作成したサンプルファイルです。
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