Excel作業の自動化に役立つ「元データ」の2つの運用ルール
AさんAさん

前回の話で元データの表のポイントについて理解できました!
このポイントに沿ってデータをまとめていきますね。
その他、何か注意点などありますか?

森田森田

今後、さらに作業効率を高めていくなら、元データを「どう運用するか」というルールも大事になります。
今回、特に気を付けてほしい運用ルールを2つにまとめて解説していきますね。

解説動画:【前提知識#4】Excel作業の自動化に必要な運用ルール2選

この記事の内容は下記の動画でも解説しています。
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はじめに

この記事は元データ(テーブル)の概要を理解していることが前提です。

参考記事

元データ(テーブル)の概要の詳細は以下の記事をご参照ください。


【ルール1】データを蓄積する方法を定める

Excelの作業効率を高めるには、最終的に自動化が可能な運用ルールを定めておくことが大事です。

まず1つ目のルールは、同じ種類の元データ(テーブル)をどのように蓄積していくかです。

代表的なものは次の4種類ですね。

上記①~③は人がExcelの表へ直接入力してデータを蓄積し、は別システムで蓄積したデータを定期的に出力する、といった運用となります。

この4種類は以下の条件を踏まえ、最適なものを選ぶと良いでしょう。

  1. データの入力先はExcelか別システムか
  2. Excelへ入力の場合)同時に複数人で入力する必要があるか
  3. Excelへ入力の場合)報告サイクルやデータ量等の関係によりデータを区切って管理した方が良いか

条件1を踏まえ、データの入力先によって、まずは①~③か、④かに分岐します。

~③の場合、条件23を踏まえてさらに分岐すると良いです。

条件23に該当しないなら、複数データを集約せずに済む①にしましょう。

条件2に該当するなら、③がおすすめです。
理由は、②の場合はブックを共有化する必要があり、共有時にテーブル機能は使えないためです。

条件3のみに該当するなら、②でも③でも問題ありません。

なお、今回②~④は月別で分けていますが、他にも部署別で分ける等、目的に応じた切り口で分けると良いです。

そして、②~④の場合は最終的に1つの表へまとめる必要があるため、同じ形式の表にしておきましょう。
(④は別システム上で出力形式は統一されているはずですが)

ちなみに、③・④の場合の置き場所はローカルフォルダーか社内の共有フォルダーが前提です。

Teams等のオンライン上を置き場所にした場合、一時的な管理や同時編集には向いていますが、現時点では自動化の対象に設定するにはハードルが高い印象です。

【ルール2】データの名前に規則性を持たせる

2つ目のルールでは、どんな名前を付けるべきかです。

自動化対象のデータで何気に大事なのが「名前」です。

最終的に自動化するには、各種データの名前の付け方に規則性を持たせる必要があります。

一例として、Excelで扱う主要なデータ対象の4種類に対し月別で名前を付けたものが以下です。

このように、制御対象の各データの名前に規則性があると、対象データを判別しやすくなります。

これはExcelに限らず、RPA等の自動化ツールを活用する上でも共通する考え方なので、徹底してください。

なお、各データは、それぞれ名前に対して以下のような制約があります。

テーブル名

この名前の構文が正しくありません。

名前が次の規則を満たしていることをご確認ください:
 -
先頭が英文字、ひらがな、カタカナ、漢字、またはアンダースコア(_)である
 -
空白または無効な文字が含まれていない。
 -
ブック内の既存の名前と競合していない。

シート名

入力されたシートまたはグラフの名前が正しくありません。次の点を確認して修正してください。

  • 入力文字が31文字以内であること。
  • 次の使用できない文字が含まれていないこと:コロン(:)、円記号(\)、スラッシュ(/)、疑問符(?)、アスタリスク(*)、左角かっこ([)、右角かっこ(])
  • 名前が空白でないこと

ファイル名、フォルダー名

ファイル名には次の文字は使えません:
\ / : * ? “ < > |

その他、各データの名付けに使わない方が無難なものとして、環境依存文字があります。

環境依存文字とは、文字を変換時、次のように「環境依存」と表示される文字のことです。

この文字を使った場合、対象のデータ名を取得する際に文字化けしてしまい、自動化できないケースがありますので、ご注意ください。

上記の制約も踏まえ、各データに対し、規則性のある名前を付けてください。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

2つの運用ルールは基本ではありますが、意識できているか否かで、後で自動化しようと思った時の難易度が変わります。

もし、現時点で意識できていなかった場合は、この機会にデータの運用ルールをぜひ見直してみてくださいね。

なお、元データの収集/整形に関する知識やテクニックは、私の拙著で体系的に解説していますので、こちらも参考にしてみてください。

ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

私自身、VBAで複数ブックを集約する際、なぜかエラーになってしまい、原因を突き止めたら、「₌」という環境依存文字を使われていたということがありました。。

このような不要なエラー解消作業に時間や労力を割かなくて済むように、本記事のルールをまずは知り、そして守っていくことをおすすめします。