【Excel基本】最もスピーディーに関数の数式を挿入する方法とは
AさんAさん

関数を使い始めましたが、便利ですね!
もっと関数を実務で役立てていくために今のうちに覚えておいた方が良いことってありますか??

森田森田

関数は便利ですよね!
関数を実務へ活用していくために押さえてほしいことは何点かありますが、最初は関数の数式を手早く挿入することです。
ちなみに、Aさんは関数の数式をどのように挿入していますか?

AさんAさん

えっと、普通にポップアップされたメニューみたいなものに入力していますが・・・。

森田森田

あー、それはダイアログで入力しているということですね。
実は、ダイアログ入力よりもセルや数式バーへ直接入力した方が速くて便利ですよ!
では、具体的に解説していきますね。

はじめに

この記事は関数の概要を把握していることが前提です。

参考記事

関数の概要については以下の記事をご参照ください。

実務で関数をフル活用するには、手早くベースの数式を挿入できるとベター

関数を活用する際の大枠の流れは3ステップあり、実務の作業効率を上げるには、次の2つのアプローチが重要でした。

  1. いかに手早くベースの数式を挿入するか(STEP2
  2. いかに同じ数式を複数セルへ使い回すか(STEP3

本記事の対象は、この中の「①いかに手早くベースの数式を挿入するか」です。

ベースの数式をスピーディーにセットできるようになると、当然ながらセット回数分の時間が短縮されます。

私が推奨するのは、セル(数式バー)へ直接入力する方法ですが、その理由を含め段階的に解説していきます。

3種類の関数の挿入方法

関数の挿入方法は、大別すると次の3種類あります。

  1. セル(数式バー)へ直接入力
  2. 「関数の引数」ダイアログ経由で入力
  3. 「オートSUM」コマンド経由で入力

③はSUM(合計)、AVERAGE(平均)、COUNT(数値の個数)、MAX(最大値)、MIN(最小値)の5種類のみ対応。
SUMはショートカットキー(「Shift+Alt+=」)でも挿入可。

それぞれがどのような挿入方法か、またメリット/デメリットがあるかを順番に解説していきます。

【挿入方法①】セル(数式バー)へ直接入力

1つ目は、セル(数式バー)へ直接入力する挿入方法です。

前述の通り、私が推奨している方法になるため、他の方法の方は直接入力へ切り替えることをおすすめします。

挿入手順

事前にIMEの入力モードは「半角英数」にした上で以下の手順を実施していきます。

  1. 関数を挿入するセルを選択
  2. =」を入力
  3. 任意の関数名の1~3文字入力
  4. SUMなら「su」等
  5. サジェストから該当の関数名を選択し、「Tab」キーで確定
  6. 任意の引数を設定
  7. Enter」キーで確定

手順⑥で数式の最後の「)」が自動入力される。

メリット3

直接入力のメリットは3点です。

【メリット1】キーボード中心で操作でき、スピードが速い

Excelに限らず、PC操作を効率化するにあたり、マウス操作を減らしてキーボード入力の比率を上げることが鉄則です。

関数の数式挿入についても同様です。

上記の挿入手順の通り、関数名の冒頭数文字を入力すればサジェストから選択入力できるため、関数名の丸暗記は必要ありません。

引数の部分も「関数のヒント」が表示され、現在どの引数を設定中か分かります。

なお、引数の指定もマウスよりキーボード操作で行うと、より効率的です。

特に、連続するセル範囲を指定する場合、次のようなショートカットキーを併用すると良いでしょう。

  • 起点セルから終点セルまで一括で選択したい場合:「Ctrl+Shift+矢印キー(終点セルの方向)
  • 起点セルから1セルずつ範囲選択したい場合:「Shift+矢印キー

【メリット2】複数の関数を1つの数式に組み合わせて使う際、数式の記述がしやすい

実務では、1つの数式の中で複数の関数を組み合わせて使うケースは多いです。

一例として、次のようなイメージですね。

こうした場合、他の挿入方法では煩雑な作業になりますが、直接入力なら数式入力中に関数のヒントが表示され、どの関数のどの引数を設定中か分かりやすいです。

なお、こうした数式はいきなり記述するより、メインの関数の数式が問題ないことを確認の上、数式バーからサブの関数の数式を加える等、段階を踏んで数式を入力するとミス抑止やストレス軽減につながります。

【メリット3】セル以外の場所(条件付き書式やデータの入力規則等)への数式入力にも慣れやすい

Excelではセル以外にも数式を入力できる機能があります。

  • 条件付き書式
  • データの入力規則
  • 名前(名前の定義、印刷範囲等)

上記機能に数式をセットすることで、標準機能に用意されていないことも実現できます。

一例として、条件付き書式で偶数行を対象に色付けする場合の数式が以下です。

このように、セル以外の機能に数式をセットする場合、直接入力しかできません。

よって、日常的に数式を直接入力しておけば、セル以外の場所へ数式を活用することも特にハードルが上がらずに済みますね。

デメリット1

直接入力のデメリットは1点のみです。

【デメリット1】各引数のデータ型が分かりにくい

直接入力では、関数のヒントでどの引数を設定中か分かるものの、その引数に設定すべきデータ型までは分かりません。

初めて使う、あるいは忘れてしまった場合は、「関数の引数」ダイアログで引数に設定するデータ型を確認すると良いでしょう。

【挿入方法②】「関数の引数」ダイアログ経由で入力

2つ目は、「関数の引数」ダイアログ経由で入力する挿入方法です。

こちらは多くの初心者向けの書籍や記事で解説されている頻度が多い印象ですね。

ただし、私は前述の通り、直接入力を行う方法を推奨しています。

ダイアログは、直接入力を行う上で分からない引数のデータ型を調べる場合に限定して使うと良いでしょう。

挿入手順

「関数の引数」ダイアログ経由で入力する手順は、大別して3パターンあります。

【手順パターン1】「関数の挿入」ダイアログ

セットしたい関数の分類が不明な場合、この手順がおすすめです。

  1. 関数を挿入するセルを選択
  2. 「関数を挿入」コマンドをクリック
  3. 関数の検索 or 関数の分類を選択
  4. 任意の関数を選択
  5. OK」ボタンをクリック
  6. 任意の引数を設定
  7. OK」ボタンをクリック

手順④で選択する関数名をダブルクリックで手順⑤を省略可能。

【手順パターン2】「数式」タブの「関数ライブラリ」グループ

セットしたい関数の分類が分かっている場合、こちらの方法がおすすめです。

  1. 関数を挿入するセルを選択
  2. 「数式」タブをクリック
  3. 任意の関数の分類をクリック
  4. 任意の関数を選択
  5. 任意の引数を設定
  6. OK」ボタンをクリック

【手順パターン3】「名前」ボックス

直近で使用した関数を改めて選択したい場合、こちらの方法がおすすめです。

  1. 関数を挿入するセルを選択
  2. =」を入力
  3. 「名前」ボックスの「▼」をクリック
  4. 任意の関数を選択
  5. 任意の引数を設定
  6. OK」ボタンをクリック

手順④で希望の関数がない場合、「その他の関数」を選択することで、手順パターン1の手順③以降へ遷移可能。

メリット1

ダイアログ入力のメリットは1点です。

【メリット1】ダイアログから引数の詳細が分かりやすい

「関数の引数」ダイアログは各引数のデータ型や説明が記載されるため、どんなデータを設定うれば良いかが分かりやすいです。

直接入力のデメリットをこのダイアログで補うと良いとこ取りが可能となります。

デメリット3

ダイアログ入力のデメリットは3点です。

【デメリット1】関数を探す時間やマウス操作が多くなり、時間がかかる

前述の手順は、パッと見では直接入力よりも少なく見えますが、関数を探す時間やマウス操作に手間取る部分も含めると、作業時間がかかってしまいます。

また、不慣れな場合、誤って「関数の引数」ダイアログの「OK」ボタンをクリックして閉じてしまうこともありますが、その場合は最初からやり直しが必要です。

【デメリット2】複数の関数を1つの数式に組み合わせて使う際、数式の記述がしにくい

「関数の引数」ダイアログで複数の関数を組み合わせた数式をセットする場合、ダイアログだけでなく、名前ボックスや数式バー等も含め、いろいろ切り替えながら設定しなければならないため、手順は煩雑になります。

大枠の手順をまとめると、以下の通りとなります。

  1. メインとなる関数の「関数の引数」ダイアログを起動
  2. ネストしたい引数のところで数式バーの左隣の名前ボックスからサブの関数をクリック
    ※希望の関数がない場合は「その他関数」を選択の上希望の関数を選択
  3. サブの関数の「関数の引数」ダイアログを入力
  4. 数式バーのメインの関数名をクリックし、「関数の引数」ダイアログをメインのものへ切り替え
  5. メインの関数の「関数の引数」ダイアログの残りの引数を入力
  6. メインの関数の「関数の引数」ダイアログの「OK」ボタンをクリック
参考記事

ダイアログ入力で複数の関数を1つの数式に組み合わせて使う方法の詳細は以下の記事をご参照ください。

【デメリット3】セル以外の場所への数式入力にも慣れにくい

ダイアログ入力のみに慣れていると、各引数のボックスを埋めることに意識が向き、完成した数式の理解が薄い方が散見されます。

そうなると、ダイアログ入力不可となるセル以外の場所への数式入力にも慣れにくいです。

さらに、後から数式を修正するといったことにも苦手意識が出てしまう恐れもあります。

【挿入方法③】「オートSUM」コマンド経由で入力

3つ目は、「オートSUM」コマンド経由で入力する挿入方法です。

こちらも初心者向けの書籍や記事で解説されている場合があります。

そもそも「オートSUM」コマンドは5種類の関数(SUMAVERAGECOUNTMAXMIN)に限定した補助機能のため、あえて使う必要性はないでしょう。
5種類の関数も直接入力で十分。

挿入手順

「オートSUM」コマンド経由で入力する手順は、以下の通りです。

  1. 関数を挿入するセルを選択
  2. 「数式」タブをクリック
  3. 「オートSUM」コマンドの「▼」をクリック
  4. 任意の集計方法を選択
  5. 任意の引数を設定
  6. Enter」キーで確定

手順⑤は挿入するセル付近の縦もしくは横の数値データを自動で範囲選択されるため、必要に応じて調整すること。

メリット1

オートSUM入力のメリットは1点です。

【メリット1】目的の関数を探しやすい

そもそも5種類の関数に絞られているため、目的の関数を探しやすいです。

また、「合計」や「平均」等の集計方法で選択でき、関数に不慣れな方目線で分かりやすくなっています。

デメリット2

オートSUM入力のデメリットは2点です。

【デメリット1】使用できる関数の種類が少なく、活用機会がほぼない

メリットの裏返しですが、5種類の関数しか選択できないため、実務で活用する機会がほぼないです。

しかも、5種類のうち、SUMは実務でトップクラスの使用頻度ですが、残り4種類は基本の関数ではあるものの、そこまで頻繁に使うものではありません。

他にもっと使用頻度の高い関数があるので、少々もったいないですね。

【デメリット2】数値データを対象として引数の関数以外の数式に慣れにくい

オートSUM入力できる関数はすべて数値データを集計する関数であり、引数の構成も一緒です。

オートSUMに慣れてしまうと、これ以外の構成の関数に慣れる経験値を積みにくくなってしまいます。

さいごに

いかがでしたでしょうか?

まとめると、手早くベースの数式を挿入するためには「直接入力」していきましょう。

そして、不慣れな関数であれば、サブ的に「関数の引数」ダイアログで引数の内容を確認するようにすると良いですね。

なお、数式や関数を拙著で体系的に解説していますので、こちらも参考にしてみてください。

ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

私も仕事で時間に追われることが多かったので、関数初心者の頃から時短を意識していた結果、気づけば直接入力していました。
逆にダイアログ経由で関数を挿入する方が慣れてなくて戸惑ってしまうほどです()
なお、関数の使い方で不明な際は、Microsoft公式HPや当サイト記事等で調べてください。