

職場でよく先輩が「早くVLOOKUP関数を使えるようになりなよ!」とアドバイスされるのですが、そもそも「VLOOKUP関数」って何ですか?

主にデータの転記に役立つ関数ですよ。デスクワークで活躍するシーンが多い関数なので、しっかり使えると即戦力ですよ!
では、なるべくわかりやすく解説していきますね。
はじめに
本題に入る前に、この記事がおすすめな人を挙げてみます。
- データの転記・集約作業が多い人
- エクセルを使う頻度が高い人
- 事務職を目指している人
ちなみに、最低限「四則演算やSUM関数が使えている」想定での記事となります。
※自信がない方はこちらの記事で学んでください。
→【超初心者向け】Excel(エクセル)の「数式」とは
VLOOKUP関数とは
読み方はブイ・ルックアップ関数と読みます。関数名の”VLOOKUP”はVertical LOOK UPから来ていると推測されます。(Microsoftの公式見解がないので)
数式ライブラリ上のカテゴリは「検索/行列」です。
VLOOKUP関数の具体的な機能は、「Vertical」が意味するとおり、任意の表に対し、上から下へ垂直に特定の値の検索を行い、対応するセルの値を取得します。
一言でいえば、「縦方向にデータ検索&転記作業をしてくれる関数」といえます。
難易度は「中級」レベル
関数の中での難易度はだいたい真ん中ぐらいのレベルです。
参考までにエクセルのもっとも有名な資格であるMOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)は一般レベルの「スタンダード」と上級レベルの「エキスパート」の2つの難易度がありますが、そのうちのレベルの高い「エキスパート」で出題されます。
エクセルを使う職場では「VLOOKUP関数を使えるかどうか」で、おおよそのエクセルスキルを図る物差しになっています。
エクセルを使う事務の仕事の求人募集を探してみると、募集要項の中に「VLOOKUP関数とIF関数が使えること」が条件として掲載されていることがけっこうあります。
私も事務の職場をマネジメントしていた際は、VLOOKUP関数を使えるかどうかを採用基準の目安にしていました。
職場によっては、この関数を使えるだけで「神」扱いされるところもありますので、がんばって使えるようになりましょうね!
VLOOKUP関数が活躍するのは主にデータの転記作業!
では、実際にこのVLOOKUP関数が活躍するシーンを確認していきましょう。
それは「データの転記作業」です。
「データの転記作業」といっても難しく考える必要はありません。
辞書や電話帳から、調べたいキーワードを元に該当のページを探して、ノートなどに書き写すようなイメージです。
これをエクセルに話を戻して考えます。
たとえば、表Aを参照し、特定のデータを表Bに移す必要があるとします。(デスクワークでは表から表へのデータ転記はしょっちゅう発生します)
この際、転記しなければならないデータ数が少なければ手作業でも問題ないですよね。
具体的に手作業で行なう場合の手順をまとめると次のようなイメージになります。
このデータ数がたとえば1,000件あったとしたらどうでしょう?
1データあたり5つの手順が必要になるので、ざっと5,000の手順をこなさなければなりません。
この作業数が多くなると、コピペミスや見間違いなどのヒューマンエラーが起きる可能性が高くなります。
これを、VLOOKUP関数を使うとどうなるかも見ていきましょう。
データ数に限らず、①~③を行えば一瞬で転記が完了します!!
これは、データ数が100件でも1,000件でも同じなので、手作業の9割以上の時短効果がありますよ。
しかも、①の数式さえきちんと入力しておけば、ヒューマンエラーは起きる確率は手作業のときよりも劇的に下がります。
ちなみに、表から表以外にも、表から個別のフォーマットへ転記するという使い方も多いです。(たとえば、請求データを管理している表→個別の請求書など)
このあと、VLOOKUP関数の具体的な使い方を学んでいきますが、事前にこういった基本のイメージだけでも先につかんでおきましょう。
VLOOKUP関数の構文を理解しよう!
VLOOKUP関数を記述する際の構文は次のとおりです。
※引数名を[]で囲っているものは省略可能
=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,[検索方法])
カッコ内の各引数は次のとおりです。
引数
引数名 | 必須 | データ型 | 説明 |
---|---|---|---|
検索値 | ○ | どの型でも可 | 検索したいキーワードを指定します。
キーワードは数値でも文字列でも何でも指定できます。 |
範囲 | ○ | セル範囲 | 参照したいセル範囲(表)を指定します。
なお、このセル範囲の1番左の列に必ず引数「検索値」の値が入っている必要があります。 |
列番号 | ○ | 数値(正の整数) | 引数「範囲」で指定したセル範囲の左から何番目の列を参照するかを指定します。 |
検索方法 | 論理値 | 「TRUE」または「FALSE」を指定します。
「TRUE」は”1”、「FALSE」は”0”に置き換えることも可能です。 |
なお、「データ型」とは、その引数に指定できるデータの形式を指します。
指定外のデータ形式を指定すると、関数の戻り値(返り値)はエラーとなりますのでご注意ください。
この「データ型」を把握していると、不要なエラーを回避したり、他の関数と組み合わせる際に役立ちますよ。
なお、他の関数とどう組み合わせていくかは別記事でご紹介していきますね。
ちなみに、VLOOKUP関数自体の戻り値(返り値)は、引数「範囲」内にあるデータの形式に準じますので、文字列や数値、日付/時刻など、どのデータ型になるかはケースバイケースとなります。
サンプルファイルで練習しよう!
では、実際にVLOOKUP関数を使ってみましょう!
サンプルの条件
今回の題材は次のとおりです。
「商品」というシートにくだものの名称・単価が一覧表になっています。
この「単価」を別シート「台帳」のC列の2行目以降に転記したいとします。
この「台帳」シートのB列には「くだもの」の名称がすでに入っているので、これをVLOOKUP関数のキーワードにしていきましょう。
実際に操作しよう!
可能であれば、以下のサンプルファイルをダウンロードして実際に操作してみてください。
サンプルファイル_VLOOKUP関数
※サンプルファイルのダウンロードには無料メルマガに登録いただく必要があります。
(上記リンクから登録フォームへ遷移します)
ファイルを開いたら次の手順を実施してください。
- 「台帳」シートを選択
- C2セルへ「=VLOOKUP(台帳!$B2,商品!$A:$B,2,0)」を入力
※赤字の部分をコピーして貼り付けてください。 - C2セルをコピー
- C3~C6へ貼り付け(ペースト)
念のため、上記の各手順を実際に操作した際の画面がどうなるかも以下に掲載しておきますね。
手順1~3
手順4
もし、表や数式を加工してしまった場合は、上記手順を実施済みの「台帳 (関数あり)」シートもサンプルファイル内に用意していますので、必要に応じてご活用くださいね。
VLOOKUP関数の仕組みを理解しよう!
なんとなくVLOOKUP関数の操作感はイメージできましたか?
ここで、VLOOKUP関数が裏側でどういう動作をしているか、きちんと理解しておきましょう。
この動作のイメージをしっかりと把握していると、自分の想定と異なる戻り値(返り値)が出た場合などに、原因がどこかあたりをつけることができますよ。
では、全5ステップになりますので順番に見ていきましょう。
【STEP1】引数「検索値」の値を把握する
エクセル側で数式中の引数「検索値」に指定した値をキーワードとして把握します。
これは定数として数式中に入力しても良いですし、上記のようにセル参照しても良いですよ。
今回の例では、「台帳」シートのB2セルを参照しているので、B2セルの値である”りんご”が検索値となります。
【STEP2】引数「範囲」で指定されたセル範囲を把握する
続いて、エクセル側で数式中の引数「範囲」に指定したセル範囲を把握します。
今回の例では「商品」シートのA・B列ですね。
ちなみに、引数「範囲」は設定する際は、列で指定しておく習慣をつけておくと良いですよ。
理由としては、引数「範囲」で指定したセル範囲に新しいデータが挿入されたりすると、追加したデータがVLOOKUP関数の検索範囲外になってしまう恐れがあるためです。
【STEP3】STEP2のセル範囲の1番左の列を上から下へ1セルずつSTEP1の値に一致するセルを探す
STEP2で指定したセル範囲の1番左の列が引数「検索値」の検索範囲となります。
今回の例では「商品」シートのA列ですね。
エクセル側で、この範囲の1番上のセルから1セルずつ下方向へSTEP1の値に合致するセルを探すことになります。
A1セル→A2セル→A3セル・・・、という感じですね。今回はA2セルで合致しています。
ちなみに、合致したかどうかの判断は引数「検索方法」でも変わりますのでご注意ください。
基本的に「完全一致」となる”FALSE”もしくは”0”を入力しないとうまく検索できません。
逆に「近似一致」を活用したい方はこちらの記事をご覧ください。
VLOOKUP関数の引数「検索方法」のTRUEの使いどころ #Excel #関数 | Excelを制する者は人生を制す ~No Excel No Life~
【STEP4】STEP3で一致したセルから引数「列番号」で指定した数だけ右方向に移動
エクセル側でSTEP3の合致したセル(「商品」シートのA2セル)を1列目として、引数「列番号」で指定した数(今回は”2”)だけ右側にスライドします。
よって、今回は最終的に「商品」シートのB2セルになりました。
ちなみに、引数「列番号」は今回”2”という定数にしていますが、セル参照にしたり、関数を入れることもできますよ。
【STEP5】STEP4で一致したセルの値をVLOOKUP関数の戻り値(返り値)として返す
最終的にエクセル側でSTEP4の合致したセルの値をVLOOKUP関数の戻り値(返り値)として返します。
今回は「商品」シートのB2セルの値”150”が、VLOOKUP関数の入っている「台帳」シートのC2セルへ返りましたね。
ちなみに、STEP1~4のいずれかでVLOOKUP関数のルールから外れている場合は、戻り値がエラーとなります。
こんな複雑な動きを一瞬で関数の数だけ行っているエクセルはすごいですね。
VLOOKUP関数になれてきたら・・・
上記の基本的な使い方が十分にできるようになったら必要に応じてご覧ください。
以下の2つの記事の内容に対応できるようなったらVLOOKUP関数マスターと言っても過言ではありませんよ(笑)
VLOOKUP関数の困りごとあるある
【中級者向け】VLOOKUP関数を使う中で実際に困った「あるある」事例6選 | Excelを制する者は人生を制す ~No Excel No Life~
VLOOKUP関数のエラー対応まとめ
【中級者向け】VLOOKUP関数で起きるエラー7種類の原因と解決策まとめ | Excelを制する者は人生を制す ~No Excel No Life~
さいごに
VLOOKUP関数は本当に便利で沢山のビジネスマンが使用しています。
こちらの記事で紹介しましたが、VLOOKUP関数はSUM関数などの初歩的な関数を除き、エクセル関数の活用度ランキングで1位です。
ビジネスパーソンが押さえておくべき7大Excel関数 | Excelを制する者は人生を制す ~No Excel No Life~
それだけ便利なことの裏付けですし、事実、この関数がなければデスクワークの時間が大幅に膨らんでしまいます。
まずは、本記事でVLOOKUP関数の基本をしっかり理解し、実際の作業で使い倒してください。
その上で、VLOOKUP関数の応用テクニックも学びたくなったら、私の書籍で紹介していますのでご参考にしていただければと思います。
▼VLOOKUP関数を基本から応用まで体系的に学びたい方向け
▼VLOOKUP関数の応用テクニックに加えて、その他IF関数なども学びたい方向け
ご参考になれば幸いですm(_ _)m

VLOOKUP関数は私がエクセルにハマるきっかけになった思い入れが強い関数です。
この関数を用いて、複数のデータを一瞬で集約する様子はまさに「快感」でしたね。1人でも多くの人にこの便利さを知ってほしいです。