表の一部データの編集や削除の作業がけっこう大変です・・・。
こうした作業をもっと楽にできる方法はないですかね?
そんな場合、「ジャンプ」という機能が便利ですよ!
特定の条件に一致する複数セルを一括で選択できるため、まとめて編集や削除ができちゃいます。
では、詳細を解説していきますね。
表の中の複数セルをまとめて編集/削除したい場合は「ジャンプ」が有効
実務で意外と大変なのが、表の一部データを編集/削除するメンテナンスです。
こうしたメンテナンスを目検でちまちま行うのは精神的な負荷がかかりますし、作業時間もかかってしまいます。
こうした作業のコツは、同じ内容の編集/削除はまとめて行うことです。
そのためには、同じ作業を行えば良い複数セルをいかにスピーディーかつ正確に選択状態にできるかが大事です。
こんな場合、「ジャンプ」という機能を使いましょう。
ジャンプを使えば、指定した条件に一致するセルやセル範囲を一瞬で選択状態にできます。
これにより、編集/削除といった作業の効率を上げることが可能です。
ジャンプの使用イメージ
ジャンプは、主に次の2つの使い方があります。
【使用イメージ①】指定のセル/セル範囲を選択
1つ目の使い方は、指定したセルまたはセル範囲を選択することです。
これは、選択したいセル/セル範囲が決まっていて、移動時間を短縮したい場合の使い方です。
同一シート以外にも別シートや別ブックへのジャンプも可能。
ただし、これは「名前」ボックスと同じ効果のため、この使い方であれば「名前」ボックスを使っても問題ありません。
「名前」ボックスをキーボード操作のみで行う場合、「Alt」+「F3」のショートカットキーで「名前」ボックスをアクティブ状態にできる。
【使用イメージ②】指定条件に一致するセル/セル範囲を選択
2つ目の使い方は、指定した条件に一致するセルまたはセル範囲を選択することです。
これは、選択したいセル/セル範囲の場所が不明、あるいは複数あって選択するのが大変な場合に使います。
同一シート内での選択に限る。
こちらがジャンプのメインの使い方だと思ってください。
条件に一致した複数セルを選択状態にできるため、一括で修正や削除を行うと作業効率が上がります。
複数セルの一括入力は「Ctrl」+「Enter」。
なお、指定した条件に一致するセル/セル範囲がない場合、以下のエラーメッセージが表示されます。
該当するセルが見つかりません。
必要に応じて、ジャンプ実行時のアクティブセル(選択中のセルのこと)や指定条件を見直し、再度ジャンプを実行しましょう。
ジャンプの操作手順
ジャンプを実行したい場合は、使用イメージ①②それぞれ以下の手順となります。
使用イメージ①
- リボン「ホーム」タブをクリック
- 「検索と選択」をクリック
- 「ジャンプ」をクリック
- 任意のセル/セル範囲の番地または名前を入力
※今回は「注文テーブル」 - 「OK」をクリック
手順①~③はショートカットキー(「F5」または「Ctrl」+「G」)で行うことも可能。
手順④は「移動先」ボックスにある候補(ブック内の名前やテーブル名が最初に表示、以降はジャンプ実行時のセル番地が追加される)を選択することで自動入力が可能。
※ジャンプ実行後に追加されるセル番地はブックを閉じると消える(名前やテーブル名は消えない)。
手順④はA1、A1:B1といったセル番地以外にも、構造化参照を直接入力も可能(別ブック/シートのセル/セル範囲も可能)。
手順⑤は「Enter」キー押下で省略可能。
名前や構造化参照の詳細は、以下の記事をご参照ください。
はじめに この記事は関数に指定するデータ型「参照」や参照演算子を把握していることが前提です。 参考記事 関数に指定するデータ型「参照」や参照演算子の詳細は以下の記事をご参照ください。 数式の参照セルにデータ名があると分か …
使用イメージ②
- 選択したいセルが含まれる表のいずれかのセルを選択
※今回はD2~E11セル - リボン「ホーム」タブをクリック
- 「検索と選択」をクリック
- 「条件を選択してジャンプ」をクリック
- 任意の条件を選択
※今回は「定数」 - 「OK」をクリック
手順①は、表の一部の範囲から選択させたい場合は、事前に対象のセル範囲を選択しておくこと(例:「商品コード」列のみ選択しておく等)。
※手順⑤の条件によっては、手順①の選択範囲が関係ない場合あり(条件別の挙動は後述)。
手順②~④はショートカットキー(「F5」→「Alt」+「S」または「Ctrl」+「G」→「Alt」+「S」)で行うことも可能。
手順⑤はショートカットキー(「Alt」+選択肢右側のアルファベットのキー)で行うことも可能(例:定数なら「Alt」+「O」等)。
手順⑥は「Enter」キー押下で省略可能(マウス操作の場合、手順⑤をダブルクリックでも省略可能)。
【参考】「選択オプション」の条件の種類
「選択オプション」ダイアログの各条件の意味や挙動について、順番に解説していきます。
メモ
「メモ」の条件は、表の中でメモが設定されたセルを選択できます。
複数セルのメモをまとめて削除したい場合に使うと良いでしょう。
なお、メモの類似機能のコメントは選択対象外です。
メモの詳細は、以下の記事をご参照ください。
入力者向けの注釈や補足情報を常時表示したい場合は「メモ(旧コメント)」が有効 実務では、入力者向けに表に関する注釈や補足情報を残したい場合があります。 表全体に関わる入力ルールや注意事項であれば、表の上側や専用のシートを …
定数
「定数」の条件は、表の中で値が定数のセルを選択できます。
定数とは、セルに直接入力された数値(日付/時刻含む)や文字列等のことです。
この条件を使う頻度は高く、次のような場合に使うことが多いです。
- 表を使い回す際、数式以外のセルを削除したい場合
- 数式の列内に定数で上書きされたセルがないか探したい場合
なお、以下のチェックボックスを活用することで、定数の種類で選択条件を絞り込むことも可能です(デフォルトはすべてON)。
- 数値
- 文字
- 論理値
- エラー値
数式
「数式」の条件は、表の中で数式がセットされているセルを選択できます。
なお、以下のチェックボックスを活用することで、数式の戻り値の種類で選択条件を絞り込むことも可能です(デフォルトはすべてON)。
- 数値
- 文字
- 論理値
- エラー値
表の中で数式の列を特定したい場合等で使うと良いでしょう。
数式の詳細は、以下の記事をご参照ください。
Excelの「数式」はどんな機能ですか? 「数式」と聞くと数学のイメージしかないんですが・・・。 …
空白セル
「空白セル」の条件は、表の中で値が空白のセルを選択できます。
この条件を使う頻度は高く、次のような場合に使うことが多いです。
- 表の入力漏れのあるセルを探したい場合
- 結合セルを解除した後の空白セルへ同じ値を一括入力したい場合
なお、「=””」等の数式でのブランク表示は選択対象外です。
アクティブセル領域
「アクティブセル領域」の条件は、ジャンプ実行時のセルが表またはテーブルに含まれる場合、その表/テーブル全体のセル範囲を選択できます。
ジャンプ実行時のセルが表またはテーブルに含まれない場合、エラーメッセージが表示。
基本的に「Ctrl」+「A」のショートカットキーで表全体を選択する方が一般的かつお手軽なため、使用機会は少ない条件だと思います。
アクティブセルの配列
「アクティブセルの配列」の条件は、ジャンプ実行時のセルに「配列数式」がセットされている場合、その配列全体(同じ配列数式がセットされたセル範囲)を選択できます。
なお、配列数式の類似機能である「スピル」(動的配列数式)は選択対象外です。
スピルはExcel2021以降またはMicrosoft365で使用できる数式の新機能。
配列数式の詳細は、以下の記事をご参照ください。
はじめに この記事は数式の概要を把握していることが前提です。 参考記事 数式の概要の詳細は以下の記事をご参照ください。 Excelの「配列数式」とは 配列数式は、配列(複数データの集合体)を用いた数式のことです。 配列数 …
オブジェクト
「オブジェクト」の条件は、ワークシート上に配置された各種オブジェクトを選択できます。
なお、オブジェクトとは、ワークシート上に挿入できる以下の各種機能の総称だと思ってください。
- 画像
- 図形
- アイコン
- グラフ
- コントロール
- スライサー
- タイムライン
- SmartArt
- ワードアート
他にもオブジェクトに含まれる機能があるかもしれませんが、いずれもセル内のデータではなく、縦/横/四隅でサイズ調整できるものが対象です。
この条件は、何かしらのオブジェクトがワークシートに配置されてしまった場合や、複数オブジェクトをまとめて削除したい場合に効果的です。
アクティブ行との相違
「アクティブ行との相違」の条件は、行(横方向のセル範囲)を選択状態の際に、その選択範囲の中でジャンプ実行時のセルと異なる値のセルを選択できます。
範囲選択状態のアクティブセルは通常左端のセルだが、「Tab」キーまたは「Enter」キーで変更可能。
なお、この条件は選択範囲のセルの値が定数である必要があります。
数式のセルの場合はエラーメッセージが表示されます。
この条件はマニアックな挙動のため、実務での使用頻度は多くないと思います。
アクティブ列との相違
「アクティブ列との相違」の条件は、列(縦方向のセル範囲)を選択状態の際に、その選択範囲の中でジャンプ実行時のセルと異なる値のセルを選択できます。
範囲選択状態のアクティブセルは通常上端のセルだが、「Tab」キーまたは「Enter」キーで変更可能。
この条件は「アクティブ行との相違」の縦バージョンのため、仕様や注意事項も共通です。
参照元
「参照元」の条件は、ジャンプ実行時のセルが数式の場合、その参照セル(参照元)を選択できます。
なお、以下のオプションボタンで選択対象のレベルを選ぶことが可能です。
- 1レベルのみ
- すべてのレベル
「1レベルのみ」は、ジャンプ実行時のセルの数式が直接参照しているセルのみ選択します。
「すべてのレベル」は、ジャンプ実行時のセルの数式が直接参照しているセルのみならず、間接的に参照しているセル(参照セルが数式の場合、その参照セル)すべてを選択します。
この条件の「1レベルのみ」であれば、ショートカットキーの「Ctrl」+「[」と同じ効果のため、「Ctrl」+「[」を使う方が一般的かつお手軽です。
実務で「すべてのレベル」をあえて使う機会は少ないと思います。
参照先
「参照先」の条件は、ジャンプ実行時のセルを参照セルにしている数式のセル(参照先)を選択できます。
こちらも「参照元」と同様、以下のオプションボタンで選択対象のレベルを選ぶことが可能です。
- 1レベルのみ
- すべてのレベル
「1レベルのみ」は、ジャンプ実行時のセルを直接参照している数式セルのみ選択します。
「すべてのレベル」は、ジャンプ実行時のセルを間接的に参照している数式セル(直接参照している数式セルを参照セルにしている数式セル)すべてを選択します。
この条件の「1レベルのみ」であれば、ショートカットキーの「Ctrl」+「]」と同じ効果のため、「Ctrl」+「]」を使う方が一般的かつお手軽です。
こちらも実務で「すべてのレベル」をあえて使う機会は少ないと思います。
最後のセル
「最後のセル」の条件は、ワークシート上の最後のセルを選択できます。
ジャンプ実行時のセルの選択範囲は関係なし。
最後のセルとは、何かしらのデータ(値や書式)があるセルのうち、ワークシート内の最下行かつ最右列の交点のことです。
上記の例であれば、G11セルが該当します。
基本的に、「Ctrl」+「End」のショートカットキーで最後のセルを選択する方が一般的かつお手軽なため、使用機会は少ない条件だと思います。
可視セル
「可視セル」の条件は、ワークシート上でフィルターでの絞り込みや行列を非表示にしている場合に、可視セルを選択できます。
可視セルとは、非表示になっていないセルのことです(=表示中のセル)。
ジャンプ実行時に対象の表を予め選択しておく等しておかないと、ワークシート上のすべての可視セルを選択状態にしてしまうため、ご注意ください。
また、ジャンプ実行時に非表示セルがない範囲を選択していると、特に何の効果もありません(エラーメッセージすら出ない)。
条件付き書式
「条件付き書式」の条件は、表の中で条件付き書式が設定されたセルを選択できます。
なお、以下のオプションボタンで選択対象を選ぶことが可能です。
- すべて
- 同じ入力規則
「すべて」は、表の中で何かしらの入力規則が設定されているセルをすべて選択します。
「同じ入力規則」は、ジャンプ実行時に選択中のセルと同じ条件付き書式のルールが設定されたセルのみを選択します(メニュー名が「入力規則」でややこしいですが)。
複数セルの条件付き書式をまとめてルールを編集またはクリアする場合に使うと良いでしょう。
データの入力規則
「データの入力規則」の条件は、表の中で入力規則が設定されたセルを選択できます。
なお、以下のオプションボタンで選択対象を選ぶことが可能です。
- すべて
- 同じ入力規則
「すべて」は、表の中で何かしらの入力規則が設定されているセルをすべて選択します。
「同じ入力規則」は、ジャンプ実行時に選択中のセルと同じ入力規則のセルのみを選択します。
複数セルの入力規則をまとめて編集/クリアする場合に使うと良いでしょう。
「データの入力規則」の詳細は、以下の記事をご参照ください。
セルを選択入力させたい場合は「ドロップダウンリスト」が有効 後からデータ集計/分析をするにあたり、表のデータは完全一致したものである必要があります。 なぜなら、「りんご」と「林檎」等、人間目線では同じ意味だと読み取れても …
サンプルファイルで練習しよう!
可能であれば、以下のサンプルファイルをダウンロードして、実際に操作練習をしてみてください。
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ブックを開いたら、次の手順を実施してください(今までの解説のまとめです)。
使用イメージ②の手順。
- 選択したいセルが含まれる表のいずれかのセルを選択
※今回はD2~E11セル - リボン「ホーム」タブをクリック
- 「検索と選択」をクリック
- 「条件を選択してジャンプ」をクリック
- 任意の条件を選択
※今回は「定数」 - 「OK」をクリック
本記事の解説と同じ結果になればOKです!
さいごに
いかがでしたでしょうか?
ジャンプは、指定した条件に一致するセルやセル範囲を一瞬で選択状態にでき、編集/削除の一括処理が可能となります。
手作業で表のメンテナンスを行う機会が多い方は、基本テクニックとして覚えておくと良いでしょう。
なお、ジャンプ以外にもExcelでのデータ整形の各種テクニックを拙著で解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
ご参考になれば幸いですm(_ _)m
ジャンプとセットで覚えてほしいのは、一括入力のショートカットキーである「Ctrl」+「Enter」です。
ジャンプで指定条件に該当する複数セルを選択状態にし、その複数セルへ「Ctrl」+「Enter」でまとめて編集するイメージですね。
他に複数セルの選択や編集に役立つ機能である「検索」と「置換」も状況に応じて使い分けると便利なため、ぜひセットで覚えると良いでしょう。