【Excelフローチャート作成①】エクセルで作り始める前に!フローチャートの設計に重要な6つのポイント
AさんAさん

仕事でフローチャートをつくることになりました。。
実際、どうやってつくれば良いですかね??

森田森田

フローチャートですね!
いきなりエクセルで作り始めるよりも、ちゃんと設計を詰めてからエクセルで清書した方が良いですよ!
その理由や設計のポイントについて順番に解説していきますね。

はじめに

本題に入る前に、この記事がおすすめな人を挙げてみます。

  • エクセルでフローチャートをつくりたい人
  • 業務の全体像を視覚的に把握したい人
  • オペレーションの設計や業務改善を行なう機会がある人

フローチャートとは?

フローチャートはビジネスで良く使いますが、内容は以下のとおりですね。

フローチャート (flowchart) は流れ図または流れ作業図のことで、各ステップを様々な形の箱で表し、それらの間を実線または矢印で繋いで流れを表すことで、アルゴリズムやプロセスを表現する。この図式的知識表現で、与えられた問題の段階的解法を示すことができる。データフロー図と対比すると、フローチャートでは一般にデータの流れを表すことはなく、操作を順に示すことでデータの流れを暗示する。フローチャートは様々な分野の工程の解析・設計・文書化・管理に用いられる[1]。作業の流れにそって作られていることから「フォローチャート」と呼ばれることもあるが、これは和製英語である。

ちなみに、文字だけだとわかりにくいですが、実際のフローチャートとは、以下のようなイメージですね。

フローチャートを使う目的は?

なぜ、フローチャートを使うのでしょうか?

先ほどのWikipediaの中にもありましたが、主に次の目的のためですね。

  • 仕事の工程(プロセス)の流れを視覚化する
  • システムやツールなどのアルゴリズムやロジックの流れを視覚化する

視覚化することによって、既存業務の改善や、新規業務の設計もしやすくなります。

また、何より視覚化されることによって、関係者へ共有できることも大きなメリットですね。

フローチャートを作成する際のおすすめ2ステップ

実際にフローチャートをつくる際は、次の2ステップがおすすめですよ。

  1. 設計
  2. 清書

では、それぞれの詳細を見ていきましょう。

設計

ここでいう「設計」とは、フローチャートをどんな内容にするか、設計図となる情報をラフとしてまとめておくイメージですね。

マンガでいうネーム、映画でいう絵コンテみたいなイメージでしょうか。

ネームとは、漫画を描く際、コマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などを大まかに表したもの。「絵コンテ」、「コマ割」、「ラフ・ネーム」、「ラフ」などと呼ばれる場合もある。狭義では、ふきだしの中の台詞やモノローグを指し、元々はこちらの意味で使われていた。

語源は英単語「name」の「指定する」と言う意味で、写植のフォントやQ数を指定するために、台詞を事前に抜き出しておく必要があったところから。つまり、個々の台詞に対してフォントやQ数の指定をする作業が本来の「ネーム」であり、そこから台詞そのものをネームと呼ぶようになり、ネーム作業の効率化のために事前に用意するようになったコマ割りしたものにラフな構図や台詞だけを描いたものまでもがネームと呼ばれるようになっていったのである。

映画・ドラマでいう絵コンテに近いもので、物語を映像的に語る力が問われる。つまり漫画の設計図であり、実質この段階でどういう作品に出来上がるかのほとんどが決定している。

設計の詳細については、本記事の後半で6つのポイントにまとめて解説します。

清書

ここでいう清書とは、設計のプロセスであらかじめまとめた内容を、エクセルで見やすく清書することを意味します。

エクセル上でのフローチャートの作成のポイントはこちらの記事で詳細をまとめていますので、後ほどご参照ください。

【Excelフローチャート作成②】エクセルで見やすく清書するために重要な7つのポイント

なぜ、設計と清書を別々にした方が良いのか?

なぜ、わざわざプロセスを2つに分解しているかというと、次の2つのメリットがあるためですね。

  1. 早めに上位者・関係者と中身の部分のみで議論でき、合意形成が早くなる
  2. 作成内容が固まっていた方が、思考の迷いが減って作業効率がアップする

いずれも、フローチャートに限らず、ビジネス全般で言えることですが、仕事ができる人ほど徹底していることですね。(一部の天才・熟練者除く)

メリット1は、図にした方がわかりやすいかもです。

上図のとおり、設計と作成をいっしょに行った場合、作成の部分まで実施しているので、上位者や関係者と合意形成するタイミングが別々の場合と比べても遅いですね。

つまり、手戻りまでの時間が余分にかかります。

なお、便宜上、上図ではAとBも設計・作成・合意形成にかかる期間はいっしょとして仮定していますが、メリット2で述べているとおり、通常は考えることと作業は分けて対応した方が、効率が良くなりますので、トータルの作業時間はBの方が短く済むはずですね。

メリット2も図にしてみるとわかりやすくなります。

Aのように、設計しながら作成すると、脱線しやすいので作業効率は悪くなります。
(オレンジの線がクネクネ曲がっているとおり時間が余計にかかっている)

逆に、思考をあらかじめまとめておくことで、作成する際の迷いが減るので、最短距離に近い形で作業を進めることができますよ!

このように、プロセスを設計と清書に分解することで、組織単位でも個人単位でも作業効率を高めることができるので、非常に有効なのです。

フローチャートを設計する際の6つのポイント

さて、本題ですが、今回は設計のプロセス上で重要な6つのポイントについて解説していきます。

ちなみに、6つのポイントは以下のとおりです。

  1. フローチャートの範囲を決める
  2. フローチャートで作成する内容を洗い出す
  3. フローチャートに入れる要素を決める
  4. フローチャート内の分岐点を明確にする
  5. フローチャート内の1つ1つのプロセスの粒度をそろえる
  6. 2~5の内容をラフベースで固める

それでは、順番に解説していきますね!

【POINT1】フローチャートの範囲を決める

フローチャートで書き表したい範囲を決めておきます。

例えば、関係者をどこまで含めるか、業務範囲をどこまで含めるか、などですね。

この部分によって、フローチャートの規模が決まりますので、フローチャートを使う用途に応じて考えてみましょう。

なるべく、フローチャートは使う要素が多くなると、逆にわかりにくくなるため、場合によってはフローチャートを分けると良いですね。

私は、業務設計でフローチャートを使うことが多いので、次のように3段階くらいに分ける場合があります。

  1. 自部署だけでなく、お客さまや関係する他部署含めた業務の流れ(組織間)
  2. 自部署内の担当者別の業務の流れ(組織内)
  3. 個別の担当者の作業手順の流れ(一担当者)

マクロからミクロへ、段階的にフローチャートで表す領域が狭まり、より具体的な内容になっていくイメージですね。

そもそも、フローチャートを誰向けにつくるかによって、この範囲は変わってきますので、ご自身の業務に合わせて、フローチャートの範囲をしっかりと決めておきましょう。

【POINT 2】フローチャートで作成する内容を洗い出す

フローチャートの範囲が決まっても、その範囲内で複数種類をつくる必要がある場合があります。

よって、どれだけの種類のフローチャートが必要かをあらかじめ洗い出しておきましょう。

たとえば、私がエクセルの各機能の作業手順をまとめる必要が発生した場合、1つのフローチャートでは表現できないため、以下のように複数のフローチャートをつくります。

  • 関数
  • グラフ
  • 条件付き書式 etc

このように、あらかじめ作成対象のフローチャートを洗い出しておくと、作業の抜け漏れを防止できますよ。

ちなみに、この洗い出しはエクセルなどのデジタルでリスト化した方が良いですね。

【POINT 3】フローチャートに入れる要素を決める

フローチャートに入れる要素も事前に決めておきましょう。

要素とは、フローチャートの1つ1つのブロックや、フローチャートの縦軸・横軸などのイメージです。

こちらも、フローチャートの対象範囲によって、入れた方が良い要素は変動しますね。

たとえば、【POINT1】で挙げた「3.個別の担当者の作業手順の流れ(一担当者)」のフローチャートであれば、以下のような要素が案として考えられます。

  • 担当者の作業手順(この要素はもちろんマスト)
  • 担当者の前後工程の担当者・部署など
  • 手順で使うシステムやツールなど
  • 手順ごとの備考

こちらも、フローチャートを実際に確認する人が、正確に内容を理解するために必要なものは何か、という観点で洗い出すと良いでしょう。

【POINT4】フローチャート内の分岐点を明確にする

基本的に、仕事のプロセスでも、システムやツールのアルゴリズム・ロジックも、一本道のものは極わずかですね。

よって、良いフローチャートはこの分岐点が明確ですし、実際にフローチャートでわざわざ書きおこして把握したいのは、この部分だったりします。

なお、分岐点は、単順にYES/NOやOK/NGのような2つに分岐するものだけでなく、3つ以上に分岐するケースもあります。

抜け漏れがないように、また、正確に表現できるように、留意しましょうね。

【POINT5】フローチャート内の1つ1つのブロックの粒度をそろえる

フローチャートを構成する1つ1つのブロックの粒度をそろえるように意識すると、図としてのわかりやすさがアップします。

「粒度をそろえる」とは、細かさや粗さがなるべく均等になるようにするという意味です。

表現しにくいですが、それぞれ最小単位をそろえるといった感覚でしょうか。

正直、この部分は感覚的な部分がありますので、上位者や関係者などの第三者の目線でチェックしてもらうと良いですね。

なお、1ブロックごとにポストイット1枚を使って書き出しておくと、流れをまとめやすくなりますのでおすすめです。

また、可能であれば、上記を複数名のディスカッション形式で検討しながら作成することが一番早いですし、有効ですね。

【POINT6】POINT2~5の内容をラフベースで固める

おすすめは、POINT5で書き出したポストイットをフローチャートの流れに沿って、大きめの紙やホワイトボードなどに並べ、必要に応じてPOINT3・4の内容を手書きで補うことです。

これでラフベースでのフローチャートの内容は固まりますね。

私は、さらに上記の内容を写真撮影し、画像データ化しています。

これをPOINT2で洗い出した数だけ行えばOKです。

ここまでできると、あとはついにエクセルで清書するのみですね。

さいごに

設計の重要性は理解できましたでしょうか?

フローチャートに限らずですが、事前準備をしっかりしておくと、結果的に完成までの効率も良いですし、出来上りのクオリティも良いものとなります。

そうなると、より自分やチームの業務プロセスの設計や把握、改善に役立ちますよ。

せっかく貴重な時間を費やして作成するなら、ぜひ効果が高い方法で作成していきましょう!

ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

今回の設計→清書は、PowerPointでつくる報告書や提案書などにも通ずる仕事の進め方です。
私も最初は一気に作成しちゃうタイプでしたが、上司から指摘されるロスタイムが効率悪いことに気づいてからは、この仕事の進め方にするようにしました。
こちらの方が、チェック者も早期に安心しますので、余計な茶々も入らずに自分ペースで作業を進めることができるので本当におすすめですよ!