【条件付き書式編】エクセルでガントチャートをつくる方法
AさんAさん

仕事でプロジェクト管理を行なうことになりました。
プロジェクトメンバーのタスクの進捗状況を管理するためにもガントチャートを使いたいのですが、エクセルで作成できますかね?

森田森田

もちろんできますよ!
私もプロジェクトマネジメントを良く行いますが、クライアントとも共有することがあるのでエクセルで作成・管理しています。
それでは、作成方法を解説していきますね。

Excelステップ講座

はじめに

本題に入る前に、この記事がおすすめな人を挙げてみます。

  • 仕事でプロジェクトに携わる機会がある人
  • 個人のタスク管理をしっかり行いたい人
  • 条件付き書式の実用的なテクニックを学びたい人

そもそもガントチャートとは?

ざっくり言うと、プロジェクト管理を行なうための表です。

1910年代に、アメリカ人の機械工学者であり経営コンサルタントでもあったヘンリー・ガントによって考案された。

プロジェクトを管理するために、プロジェクトの各段階を細かく作業単位まで展開し(Work Breakdown Structureを参照)Tree構造で階層表示、全体の作業の流れおよび進捗状況を表したものである。縦軸でWork Breakdown Structureを表し作業内容・担当・開始日・終了日・作業間の関連等を置き、横軸に日時(時間)をとって、横棒で行う期間及び進捗状況等を視覚的に示した図である。各作業の開始・終了時期、作業の流れ、進捗状況などが把握しやすくプロジェクト管理者やメンバーにとって非常に有効な管理手段である。

この表に必要な要素はまとめると、以下のとおりですね。

縦軸

縦軸は、少なくとも次の4つは必須ですね。

  • 作業内容(タスク) ※WBS(Work Breakdown Structure)で階層化が必要
  • 担当
  • 開始日
  • 終了日

その他、必要に応じて「作業間の関連」などの追加要素を入れると良いですよ。

私は、各タスクの「ステータス」や、「開始日」「終了日」を「予定」と「実績」でそれぞれ設けることが多いですね。

なお、一番のキーポイントはWBSで作業内容を実行するイメージが担当者間で共通認識となるレベルまで階層化・分解することが重要です。

WBSとは?

WBSはWork Breakdown Structureの略で、「作業分解構成図」とも言われます。

プロジェクトを理解し管理する上で、プロジェクトの各工程を各担当者の作業レベルまで展開し木構造にまとめたものである。どのレベルまで展開するかはプロジェクトの全メンバーが作業内容を「具体的に〇〇をする」と理解出来るレベルまでに分解するのが理想であるが、最低でも作業担当者とプロジェクト管理者の理解が得られるレベルまでは必要である。

一般的には、タスクを大・中・小の3階層程度に細分化します。

たとえば、「ダイエットする」というプロジェクトを例としてWBSを考えてみたのが、次の内容です。

3階層目の内容は、より具体的なタスクになっていることがわかりますね。

このように、実際のタスク群を進捗管理できる粒度まで細分化してあげると良いですよ。

横軸

横軸は管理しやすい時系列が必要です。

  • 時系列(日時や週など)

あとは、タスクごとに横棒や記号などで予定や進捗状況を表せばガントチャートといえますね。

ガントチャートをエクセルで作成するメリット

実は、ガントチャートは専用ソフトが複数出ており、機能面は明らかにエクセルよりも上でしょう。

Microsoft自体も、「Microsoft Project」というプロジェクト管理を行なうための専用ソフトを販売しているくらいですし、フリーソフトでもいっぱいあります。

しかし、エクセルだからこそのメリットもあります。

一例として挙げていくとこんな感じです。

特に、一番上の例は、ある程度大きな会社だと「あるある」だと思います。(私の会社もそうです)

よほど決済権を持っているか、上司を説得するだけの材料を用意する材料がないと厳しいですね。

であれば、エクセルでさくっとガントチャートをつくれちゃえば、万事解決です!

エクセルでガントチャートを作成する4つの方法

実は、このガントチャート、豊富な機能を持つエクセルは大別して4つの方法で作成することができちゃいます。

  1. グラフ
  2. 関数
  3. 条件付き書式
  4. マクロ(VBA)

それぞれ一長一短ありますが、ガントチャートを良くメンテナンスされる方が使う機能や理解できる機能を選ぶことがおすすめですね。

今回は、3の条件付き書式で作成する方法について解説していきます。

(4は別記事で更新する予定です)

ちなみに、1・2の作成方法はこちら↓

 

 

 

 

条件付き書式でガントチャートをつくる

ガントチャートのバーの部分を次のようにセルの塗りつぶしで表現していきます。

この塗りつぶしは条件付き書式の中にAND関数を用いて、条件に該当する場合のみ自動的に塗りつぶすように設定します。

前提

最初に予めガントチャートのもととなる表を用意しておきましょう。

最低限、縦軸に必要な要素は下記の通りです。

  • タスク名
  • 開始日
  • 終了日

横軸は、プロジェクトの期間に該当する日付を用意しましょう。

ここまでが、条件付き書式でガントチャートを作成する上での最低限必要な要素です。

実際のプロジェクトマネジメント上は、先述のとおり、期間や担当者などの要素もあると良いですね。

ちなみに、C・D列およびF列以降の1~3行は” mm/dd(aaa)”形式の「日付」のデータです。

では、実際のガントチャート部分の解説に移っていきましょう!

条件付き書式とAND関数を組み合わせよう!

ガントチャート部分のセルに塗りつぶしをするための条件付き書式は、「数式を使用して、書式設定するセルを決定」のボックスの中にAND関数を入れます。

この関数で、セルを塗りつぶしするかどうかを判定しますよ。

詳しい手順は以下のとおりです。

【STEP1】条件付き書式「新しいルール」を作成

まず、条件付き書式を設定したいセル範囲を選択(①)します。

次に、リボンの「ホーム」タブをクリック(②)「条件付き書式」をクリック(③)「新しいルール」をクリック(④)していきます。

【STEP2】条件付き書式「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を設定

「新しい書式ルール」ダイアログが表示されました。

ルールの種類は「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択(⑤)すると、[ルールの内容を編集してください]の下にテキストボックスが表示されます。

このボックスの中にAND関数(「=AND($C4<=F$1,$D4>=F$1)」)を入力(⑥)しましょう。

あとは、任意の書式を選択(⑦)(今回はオレンジに塗りつぶし)したら、「OK」をクリック(⑧)して完了です!

ちなみに、⑥のAND関数は、参照するセルの絶対参照・相対参照をきちんと設定すれば、この一連の手順で①で選択したセルすべてに条件付き書式を設定することができますよ。

ポイントは、「名前ボックス」(A1セルの上のボックスのこと)に表示されたセル番地がAND関数の数式をセットするセルとなりますので、このセルを規準にセル参照しましょう。

絶対参照・相対参照がよくわからない方はこちらの記事をどうぞ。

【補足】「開始日」以上かつ「終了日」以下かをAND関数で判定する

AND関数の中身自体がいまいち良くわからない方向けに補足しておきますね。

該当日(名前ボックスのセルの日付)が各タスクの「開始日」~「終了日」の期間中に該当するかどうかの判定をAND関数で行っています。

「=AND($C4<=F$1,$D4>=F$1)」

AND関数を用いて、次の2つの条件のすべてに該当すれば”TRUE”と判定しています。

  • 開始日以上か → $C4<=F$1
  • 終了日以下か →  $D4>=F$1

上記の2つのいずれも該当した場合にはじめて条件付き書式に設定した書式が適用になります。

つまり、設定しておいたオレンジにセルが塗りつぶしされるというわけです。

完成!

これで、ガントチャート部分に該当するセルは、C・D列の「開始日」「終了日」の値に応じてオレンジに塗りつぶしされるようになりました!

さいごに

条件付き書式で表現するガントチャートはグラフに近い見栄えにすることができますね。

また、他の条件付き書式を組み合わせると土日祝などの休みはグレーアウトするなど、意外と柔軟に表現することができます。

ただ、注意しないといけないのは、条件付き書式はセル上には条件が載っていないので、条件付き書式のルール側を見に行かないとどんな仕組みになっているかが第三者にはわかりにくいです。

場合によっては、条件などを明記しておくなど、関係者が混乱しないように配慮しておくと良いですね。

ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

本業のプロジェクトマネジメントで使うガントチャートは、関数+条件付き書式ですね。
あと、もちろん何度も言いますが、ガントチャートは進捗確認をいかに日々していくかが最重要事項なので、こちらもお忘れなく徹底しましょうね。

サンプルファイル

サンプルファイル_条件付き書式ガントチャート
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上記工程で作成したサンプルファイルです。
ダウンロードして設定されたところを確認してみてください♪

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