

エクセルの「数式」と「関数」って同じ意味ですか?
いろいろなサイトや書籍では2つの用語を使い分けられているように感じられるので、もしかして違う意味なのかと思ったんですが、初歩的過ぎて今さら聞けなくて。。。

なるほど。確かに実際の操作では違いがわかりにくい用語ですね。結構この2つの用語を混同している人は多いと思いますよ。
簡潔に回答すると、「関数」は「数式」の一部です。では、もっと具体的に説明していきますね。
はじめに
本題に入る前にこの記事がおすすめな方を挙げてみます。
- エクセルの数式と関数の関係性を理解したい人
- エクセルの数式の構成要素をきちんと理解したい人
- エクセルの数式で用いる専門用語を理解したい人
当てはまる方は読み進めてくださいね。
ちなみに、最低限「数式とは何か」を知っている想定での記事となります。
ご存じない方はこちらを先にご参照ください。
→【超初心者向け】Excel(エクセル)の「数式」とは
「関数」は数式の一部
エクセルにおける「関数」は「数式」の一部です。
まずは、全体像として以下の図をご覧ください。
上図のように数式は関数を含む4つの要素からできています。
では、順番に1つずつ要素を解説していく前に、エクセルの数式上でどのように表現していくか、例題を通して確認していきましょう!
【例題】円周の長さを求めてみよう!
小学生の算数を題材に、まずは例題の問題の解答を求めてみましょう。
問題
直径が 3cm の円があります。
円周の長さ(cm)を小数第2位を四捨五入して小数第1位まで求めてください。
なお、円周率は 3.14 とします。
算数上の解答
社会人の方は懐かしすぎて公式を忘れた方もいると思いますので、念のため円周の長さを求める公式は以下の通りです。
円周の長さ=直径×円周率
あとは条件を実際に上記の公式に当てはめていけばOKですね。
今回の問題の場合は以下の通りです。
直径3cm×円周率3.14=9.42cm
あとは、9.42cmの小数点第2位を四捨五入すると、9.4cmが答えとなります。
エクセルの数式で表現すると・・・
上図のように、あらかじめ条件が決まっている直径と円周率はセル上に記載してみました。
- B1セル:直径(cm)の”3”
- B2セル:円周率の”3.14”
このB1セルとB2セルを掛け算にするわけですが、Excel(エクセル)の掛け算を表す記号は”×”ではなく、”*”[アスタリスク]となるので、「B1*B2」という数式になります。
さらに、今回の問題は小数第2位を四捨五入して小数第1位を求めなければならないため、数値を四捨五入して指定の桁数にできるROUND関数を活用しています。
ROUND関数の構文:ROUND(数値,桁数)
※ROUND関数について詳しく知りたい方はこちら
ROUND関数の「数値」という部分に、先ほどの数式「B1*B2」を代入し、「桁数」という部分に小数点第1位を示す”1”を入れればOKです。
結果、円周の長さを求める数式は「=ROUND(B1*B2,1)」となりました。
この数式を入れたB3セルに”9.4”が答えとして表示されていることが確認できますね。
「数式」を構成する4つの要素
先ほどの例題をもとに数式を構成する4つの要素をきちんと学んでいきましょう。
定数
「定数」とは、数式に直接入力される数値や文字列の値です。先ほどの例題でいうと、ROUND関数の「桁数」の”1”という数値ですね。
この「定数」は、値が変わる可能性が低い場合、あるいは固定値にしたい場合に活用すると良いです。
逆に、値が変わる可能性がある場合は、この「定数」ではなく、次に説明する「セル参照」を活用すると良いですね。
なお、この「定数」として文字列を入れたい場合は、その文字列の前後に”[ダブルクォーテーション]を入れるというルールになっていますのでご注意くださいね。
例)円周という文言を数式に入れたい場合→“円周”
セル参照
「セル参照」とは、先ほどの例題でいう”B1”、”B2”という部分ですね。
これは、指定したセル番地に入力されている値を参照できます。
それぞれ入力されている値が数式上の計算に流用され、B1セルなら”3”、B2セルなら”3.14”と数式上では認識されます。
メリットは、値が変わる可能性がある要素であれば、この「セル参照」を生かすようにすると、ワークシート上のセルの値を変更するだけで、数式の計算結果を変えることができます。
今回の例題も、仮に直径の長さが変わったり、円周率の扱いが変わったりしても、B1セル・B2セルの値を変えるだけですぐに解答を求めることができますよ。
また、今回ROUND関数の「桁数」を”1”という「定数」にしましたが、問題によって小数点以下の桁数が変動するようであれば、この部分も「セル参照」にした方が良いですね。
ビジネス上ではなるべくこの「セル参照」を活用すると時短できるケースが多いのでおすすめです。
演算子
「演算子」とは、数式の各要素をどう計算するかを指定するための記号です。
先ほどの例題であれば、掛け算を表す”*”[アスタリスク]が該当します。
この演算子は概念が難しく、いろいろな種類があるため、詳細は別記事にまとめたいと思いますが、簡単な四則演算だけ参考までに掲載します。
演算子 | 読み方 | 意味 |
---|---|---|
+ | プラス(正符号) | 足し算(加算) |
- | マイナス(負符号) | 引き算(減算) |
* | アスタリスク | 掛け算(乗算) |
/ | スラッシュ | 割り算(除算) |
関数
「関数」は400種類以上あり、今回の例題で使用したROUND関数のように、それぞれ固有の計算や処理を簡単にしてくれる便利機能です。
なお、関数でないとできない計算や処理もあり、今回のROUND関数で行った「数値の四捨五入」もそれに該当しますね。
地味に四捨五入は大事で、表示形式上で小数点を四捨五入していても、裏側で持っている数値は四捨五入されておらず、計算結果がずれるという場合もあるのでご注意ください。
他にもいろいろな関数がありますので、どんな関数があるかに興味が湧いた方は、こちらのページをご覧ください。
Excel関数一覧(読み方・語源含む) | Excelを制する者は人生を制す ~No Excel No Life~
さいごに
「関数」は数式の一部であるということは理解できたでしょうか?
「関数」は数式を構成する4つの要素のうちの1つであるわけですが、「関数」を使う・使わない関係なく数式で大事なことは、実は「定数」と「セル参照」をどう使い分けるかです。
特に第三者も使うワークシートは、なるべく「セル参照」させて数式を組んでおくと、どのセルをいじると計算結果が変わるのかを伝えやすくなりますし、メンテナンスもしやすくなります。
次回は、関数にクローズアップして、「関数の基本ルール」を掘り下げたいと思います。
ご参考になれば幸いですm(_ _)m

私もしばらく「数式」と「関数」の意味をごちゃ混ぜに理解していました。特にそれで困ることはなかったですが(笑)
しかし、数式の構成要素を知ってからは、ワークシートの使い方や数式のまとめ方の工夫につながりましたので、もっと早めに知っておいた方が楽できたかなーと思います。