【Excel機能】変更/移動/削除されたくないセルを物理的に制御できる「シートの保護」の使い方
AさんAさん

表に数式をセットして、レコード追加時の入力するセルを少なくしてみましたが、時々誰かに数式を消されてしまいます・・・。
こうした場合、特定のセルの上書きができないように対策できないですかね?

森田森田

そんな場合、「シートの保護」という機能で上書きを許可するか否か、セル単位で設定すると良いですよ!
では、詳細を解説していきますね。

数式等の上書き/削除されたくないセルがある場合は「シートの保護」が有効

実務では、データ入力用の表に対し、入力工数を削減するためにも数式を活用することがセオリーです。

ただし、その表にせっかくセットした数式が、ヒューマンエラーで上書きや削除されてしまうケースが多いです。
特に、複数人で表を更新する場合やリテラシーの低いユーザーが更新する場合にリスクが大きくなる。

こうしたヒューマンエラーが発生すると、表の数式や書式を直す不要な手間が追加され、非常に非効率です。

こんな場合、「シートの保護」という機能を使い、数式セルをロック(保護)し、上書き/削除を防止することがベターです。

「シートの保護」により、セル単位でロックするか否か(編集を許可するか否か)を設定できます。

「シートの保護」の使用イメージ

シート保護中に許可されていない操作を行った場合、以下のエラーメッセージが表示され、物理的に制御されます。

変更しようとしているセルやグラフは保護されているシート上にあります。変更するには、シートの保護を解除してください。パスワードの入力が必要な場合もあります。

もし、ロックされたセルの編集が必要な場合、エラーメッセージの通り、シート保護を解除して編集するか、シート保護中の許可する操作内容を変更しましょう。

「シートの保護」の設定手順

「シートの保護」を設定したい場合は、以下の手順となります。

  1. シート保護中にロックしたくないセルを選択
    ※今回はA2~C11F2~F11セル
  2. リボン「ホーム」タブをクリック
  3. 「書式」をクリック
  4. 「セルのロック」をクリック
  5. リボン「校閲」タブをクリック
  6. 「シートの保護」をクリック
  7. 任意のパスワードを設定
    ※今回は「123
  8. シート保護中に許可する操作を選択
    ※今回は規定のまま
  9. OK」をクリック
  10. 手順⑦のパスワードを入力
  11. OK」をクリック

手順①はレコード追加も踏まえたセル範囲を選択すること。
手順①で離れたセルを選択したい場合、「Ctrl」キーを押しながら範囲選択すること。
すべてのセルは規定ではシート保護中にロックされるため、手順①~④で編集を許可するセルのロックを事前に解除しておく必要がある。
手順⑦はパスワードが不要の場合、未入力のままでOK
手順⑦でパスワード設定時は、シート保護の解除時に必要となるため、失念しないよう注意が必要。
手順⑩⑪は手順⑦でパスワードを設定した場合のみ必要。

【参考】手順②~④は右クリックメニュー経由でも可能

前述の手順②~④は右クリックメニュー経由でも問題ありません。

  1. シート保護中にロックしたくないセルを選択
    ※今回はA2~C11F2~F11セル
  2. 右クリック
  3. 「セルの書式設定」をクリック
  4. 「保護」タブをクリック
  5. 「ロック」のチェックをOFF
  6. OK」をクリック

手順③は「Ctrl+1」でショートカット可。

タブの状況によっては、こちらの方が楽なケースもあります。

【参考】シート保護中に許可する操作

「シートの保護」の設定の手順⑧で選択できる操作の詳細は以下の通りです。

基本的に規定の操作内容で問題ないことが多いですが、必要に応じて選択内容を任意のものへ変更しましょう。

操作 規定 補足
ロックされたセル範囲の選択 ON 手順①~④でロックを解除していないセルの選択
ロックされていないセル範囲の選択 ON 手順①~④でロックを解除したセルの選択
セルの書式設定 OFF 「セルの書式設定」と条件付き書式のいずれかで変更すること
列の書式設定 OFF 列幅の変更や非表示等にすること
行の書式設定 OFF 行の高さの変更や非表示等にすること
列の挿入 OFF 列を挿入すること
行の挿入 OFF 行を挿入すること
ハイパーリンクの挿入 OFF 新しいハイパーリンクを挿入すること
列の削除 OFF 列を削除すること
行の削除 OFF 行を削除すること
並べ替え OFF 「並べ替え」コマンドを使うこと
オートフィルターの使用 OFF フィルターの設定や解除、フィルターボタンを使うこと
ピボットテーブルとピボットグラフを使用する OFF レポートの挿入や、既存レポートの変更や更新等を行うこと
オブジェクトの編集 OFF 保護前にロックを解除しなかったグラフや図形、テキストボックス、コントロール等のオブジェクトを変更すること
※グラフはデータソースの変更に伴い更新される。
シナリオの編集 OFF 非表示にしたシナリオの表示、変更できないように設定したシナリオの変更、シナリオの削除等を行うこと

「シートの保護」の解除手順

「シートの保護」を解除したい場合は、以下の手順となります。

  1. リボン「校閲」タブをクリック
  2. 「シート保護の解除」をクリック
  3. 設定したパスワードを入力
    ※今回は「123
  4. OK」をクリック

手順③④は「シートの保護」設定時にパスワードを設定した場合のみ必要。

【注意】表がテーブルの場合、テーブル範囲が拡張されなくなってしまう

「シートの保護」はヒューマンエラー防止に効果的ですが、ワークシート上の表がテーブルの場合、レコード追加時にテーブル範囲が拡張されなくなってしまうため、注意が必要です。

よって、「シートの保護」とテーブルを併用する場合、予め入力用の予備レコードを用意した上で「シートの保護」を設定しましょう。

参考記事

テーブルの詳細は以下の記事をご参照ください。

サンプルファイルで練習しよう!

可能であれば、以下のサンプルファイルをダウンロードして、実際に操作練習をしてみてください。

サンプルファイル_シートの保護.xlsx

サンプルファイルのダウンロードには無料メルマガに登録いただく必要があります(上記リンクから登録フォームへ遷移します)。

ブックを開いたら、次の手順を実施してください(今までの解説のまとめです)。

  1. シート保護中にロックしたくないセルを選択
    ※今回はA2~C11F2~F11セル
  2. リボン「ホーム」タブをクリック
  3. 「書式」をクリック
  4. 「セルのロック」をクリック
  5. リボン「校閲」タブをクリック
  6. 「シートの保護」をクリック
  7. 任意のパスワードを設定
    ※今回は「123
  8. シート保護中に許可する操作を選択
    ※今回は規定のまま
  9. OK」をクリック
  10. 手順⑦のパスワードを入力
  11. OK」をクリック

本記事の解説と同じ結果になればOKです!

さいごに

いかがでしたでしょうか?

「シートの保護」は、数式等の上書き/削除されたくないセルがある表をヒューマンエラーから守ることが可能です。

不要な二度手間を回避できるため、データ入力用の表の管理や後工程の集計等を行う方は覚えておくと良いですね。

なお、「シートの保護」以外にもExcelでのデータ収集の各種テクニックを拙著で解説していますので、こちらも参考にしてみてください。

ご参考になれば幸いですm(_ _)m

森田森田

「シートの保護」以外にヒューマンエラー防止に役立つExcel機能は、「データの入力規則」があります。
「データの入力規則」はドロップダウンリストや入力時メッセージ等の役立つ機能が複数あるため、こちらもセットで覚えると有効ですね。